2009年度活動方針・計画

<第15期代表代行>海妻径子幹事

(1)活動方針

今回30周年記念大会では、現在女性学において非常に重要な意味をもつテーマを取り上げ、そのテーマを軸に幅広い会員の参加を目指したが、2009年度はポスト30周年を新しいスタートとして位置付け、あらためて会員の生活・研究現状の把握と、これまでの歩みを踏まえた各会員の女性学への思いや新しい研究動向を模索したい。その場合にも、昨年度と同じく「女性の視点(立場)をもって既成の諸学問を洗い直すもの」という女性学の定義を含めた設立の趣旨を大事にしたい。また、「既成の学会の監修にとらわれぬさまざまな立場の人の参加」「参加者による民主的、主体的な運営」の一層の進展をこころがけたい。
女性学・ジェンダー研究を取り巻く社会的・政治的状況は依然として厳しい。15期幹事会は、14期にひきつづき、今日の反フェミニズム・反民主主義的な動きに抗するために、日本女性学会が果たすべき役割を再確認し、女性学の研究成果を基にした社会的発信、市民への成果還元の努力を続けていく所存である。
そのために、通常活動である、年1回の総会・大会の開催、学会誌16号の発行、学会ニューズレターの発行、メールニュースの発信、ジェンダー研究関連諸団体等との連携、研究会活動等について、「学会活動の自由と公正のための宣言」を遵守しつつ、従来どおり遂行する。また、女性学の研究成果を基にした社会的発信、市民への成果還元を活発化するために、学会がおこなう諸活動の一層の具体化、およびその諸活動に関する手続きの明確化について、検討を開始したい。
さらには、会費段階制へのスムーズな移行、大会時の保育の制度か、個人発表の学生会員への旅費補助、懇親会会費の二段階制導入など、幅広い参加を可能にするための努力を続けていく。今回の30周年記念大会では、「パソコン文字通訳会ゆびきたす」さまのご厚意があったおかげで、「情報保障」をはかることが可能となった。幅広い参加を可能にするために検討すべき課題が、まだまだ山積していることを、あらためて痛感させられた。幅広い参加を可能にする努力を、さらに拡充させる試みとしてどのようなものが可能なのか、他学会の取り組みを調べるなどの検討作業に着手したい。
また、会員の年齢層も幅広くなっていることから、幹事会の運営においても、また研究会・大会運営・学会誌編集などの活動においても、情報公開と透明性を高め、とりわけ若手研究者等が、大会企画を始めとする学会の運営に関わりやすくなるような環境作りを模索していきたい。
最後に、昨年度の活動報告にもあったように、2009年度は前年度に引き続き「31stプロジェクト」を立ち上げ、31回大会に向けて企画・実行をすすめる。既におこなった学会員の生活・研究実態調査をもとに、ジェンダー研究者が置かれている状況を総合的に把握し、今後の環境改善のためにどのような学会運営・活動が必要であるか、提言をまとめることをめざしたい。
なお、ひきつづき、代表幹事とともに、代表代行という役職を置く。二人体制とすることによって、幅広い視野でのスムーズな幹事会運営を実現したい。

(2)活動計画

  • 2010年度大会の開催(2010年6月に開催予定)
  • 大会での日本女性学会「設立30年とその後」記念行事に向けてのプロジェクト
  • 会員の生活実態調査結果の分析とその活用
  • 研究会の開催、会員企画研究会の活発化
  • 学会誌第17号の編集・発行
  • 学会ニュースの3回発行(No.116〜118)
  • メールニュースの充実
  • ホームページの充実
  • 日本学術会議「学術とジェンダー委員会」および「ジェンダー研究分科会」等女性学・ジェンダー研究連絡組織との連携
  • 学会誌の販売促進/学会ニュースバックナンバー整理・販売検討等を含む、財政状況の改善
  • 幹事会業務の効率化および透明化
  • 年会費段階制へのスムーズな移行
  • 「学会活動の自由と公正のための宣言」の遵守
  • その他、学会の目的遂行のために必要な活動
  • 女性学の研究成果をふまえた社会的発信の一層の活性化に向けた方法の検討
*日本女性学会第30回年次総会(2009年6月14日)より