日本女性学会設立趣意書
1979年6月18日
日本における女性学の確立を目標として日本女性学会を設立する。
“女性学”とは、人間としての女性尊重の立場から、学際的に女性およびその関連の諸問題を研究する学問であり、女性の視点(立場)をもって既成の諸学問を洗い直すものである。
いま、世界的に人間性の回復あるいは尊重の願いが高まりつつあるが、女性学もそのような社会的背景の中から台頭し、今後の発展が期待されている。
さて、東洋における女性の社会的状況は欧米のそれと異なる点が少なくないが、その中でも日本の女性をめぐる諸問題は、早急に研究され解決されなければならない点を数多く含んでいる。わが国における女性学研究は漸く緒についたところであるが、昨今、研究者間の交流と日本における独自の女性学の確立と発展に役立つ場の設定が要望されるようになった。
このときにあたりわれわれは「日本女性学会」を発足させ、両性の協力のもと、人間の未来への検討も重ねながら、女性の社会参加を進め、女性の社会的状況を変革することに尽力したいと考えるものである。
女性学の対象は、日常性そのものの中にあり、したがって本学会には既成の学会の慣習にとらわれぬさまざまな立場の人の参加を期待したい。また、日本は国際交流の接点として各国の女性学研究との比較、交流も行いやすい立場にあるといえよう。
本学会は上記の目的に沿って設立され、今後、参加者による民主的、主体的な運営によって、女性学研究者の交流の場となることを願うものである。