大会報告と第16期幹事自己紹介

大会報告

去る6月19日(土)・20日(日)、大阪ドーンセンターにて2010年度日本女性学会大会が開催されました。19日に行われた大会シンポジウム「社会を動かす女性学」では、この30年間に女性学が女性差別と闘う学問としてどのような成果を生みだしてきたのかに関連して、4人の発題者から問題提起がありました。江原由美子さんが女性学の歩みをふりかえり、内藤和美さんから、高等教育における女性学や女性・男女共同参画センターの事業の現時点での成果と課題について報告がありました。赤羽佳代子さんからは、女性学と運動とが協働を強めるための提言があり、荒木菜穂さんからは、女性同士が「つながる」状況を取り戻すための新たなコミュニケーションやフェミニズムの方法論の必要性が指摘されました。
19日には総会もあり、15期幹事会による活動報告および16期の活動方針・活動計画の提案が行われ、活発な議論を経て承認されました。その後に行われた懇親会も盛況で、参加者間の交流を大いにはかることができました。
20日は、午前に4分科会で計17件の報告(1報告は都合により取消)が行われ、充実した研究交流の場となりました。午後はパネル報告1件とワークショップ4件が開催され、狭義の研究の枠内にとどまらない、実践や運動、生活の諸相と結び付いた、多様な事象が取り上げられていました。興味深い内容のものが多いためか、同時開催されている複数の分科会やワークショップを、分刻みで回って聴いている参加者も少なくありませんでした。来年の大会もまた盛会になるよう、16期幹事会一同力を合わせて、準備を進めていくつもりです。

(文責:海妻径子)

 


幹事自己紹介と抱負

海妻径子

男性史。非正規労働問題にも発言しています
様々な学会でジェンダーについての分科会がもうけられ、「ジェンダー」を学会名称に冠するところも出てきている現在、日本女性学会の存在意義が改めて問われています。存在意義のひとつは、アカデミズムの枠を超え社会的発信を行うことにあるのではないかと思いますが、私はその発信の環境整備を試みたいと考えています

(代表幹事)
青山薫

社会学・性労働/移住労働研究
2期目に入ってやっと勝手がわかってきました。引き続きのニュースレターに加え、今期は代表代行も担当します。「フィールドと理論と方法論の相互行為」を自分に言い聞かせて仕事し(半分くらい挫折し)ていますが、学会でも、他の運動との関係を大切にしつつ活動したいと思います。
秋山洋子

中国の文学・女性学
1990年代はじめに幹事になって以来、ほぼ20年、断続的に幹事会にかかわってきました。さいわい、念願だった幹事の世代交代も順調に進み、新鮮な顔ぶれがそろった今期幹事会、最後のご奉公と思ってつとめます。編集委員としては、これまでの流れを整理して問題点を見直し、きちんと引継ぎができるようにしたいと思っています。
荒木菜穂

ジェンダーと社会意識
第16期委嘱幹事メールニュース担当をさせていただくことになりました。普段は日本の女性学やフェミニズムの大衆的な受容に関心を持っています。性の政治について、立場や生き方の異なる様々な方が、時には対立しながらも、分断ではなく、一緒に考え、納得、妥協できる場の提供のお手伝いを、微力ながらさせていただけたらと思います。活動を通じ、皆様とお話を交わし、学ばせていただけることを楽しみにしております。よろしくお願い申し上げます。
伊藤淑子

アメリカ文化・文学、フェミニズム批評
編集を担当させていただきます。思い返せば、進学や仕事、家族との関係、さまざまな場面で「女性学」の力をもらってきました。現代社会で女性であることを認めて生きるということは、どのようなリアリティを引き受けることなのか、幅広い視点で考えていきたいと思います。
北仲千里

ジェンダーの社会学・ハラスメント問題研究
会員の皆様ひとりひとりが、それぞれ面白いことをどんどん考え、話し、それを日本女性学会という組織を媒介にして、皆とやりとりしてみよう!という気持ちになって参加していただいてこそ、学会の存在意義があるのだと思います。何か、そのお役にたつようなことをしたいな、と考えています。

(庶務担当幹事)
清末愛砂

ジェンダー法学・パレスチナ地域研究
15期に続いて、16期の幹事を務めさせていただくことになりました。今期は、大会会計と選挙管理委員会を担当させていただきます。日本女性学会は私が初めて入会した学会です。早いもので、13年近く経過しました。私が大変強いアイデンティティを感じている学会です。足元で起きている出来事とパレスチナの女性たちの身に起きている出来事をつなぐものを模索しながら日々を送っています
渋谷典子

NPO活動・労働法・評価
日本女性学会の庶務から会計担当へ!第16期幹事会では、新たな仕事に向き合うことになりました。日ごろは、NPO法人の代表理事として法人全体の動きに責任をもっているため、ついつい…学会のマネジメントに気持ちが向いてしまいます。「会員への説明責任は?」「見積もりを何社からとったら?」…と、幹事会では、的はずれな発言もしています。女性学の視点をもって組織をつくる…現在進行形で見つめつつ、2年間を過ごしたいと思っています。
千田有紀

社会学・ジェンダー理論
研究会と学術会議を担当させていただく千田有紀です。政権交代が起こり、またねじれ国会が成立し、先行きが見えない昨今ですが、そのなかでジェンダーの問題をどのように考えればいいのか、またどのように進んでいけばいいのか、みなさんと考えていきたいと思います。宜しくお願いします
高松香奈

国際協力学・ジェンダーと開発
第16期幹事会で、編集委員をさせていただくことになりました。これまで不真面目な会員でしたが、これを機会に更正し(!?)少しでも日本女性学会に貢献できるよう務めてまいります。研究ではジェンダー、政策一貫性の観点から国際協力・開発援助にアプローチをしています。学会での活動を通し、あらゆる研究分野の方々と交流を深め、興味関心をひろげていきたいと思っています。どうぞ宜しくお願いいたします。
内藤和美

(1)女性関連施設職員研究、(2)女性学・ジェンダー研究に係る学位論文の分析。大学では、初年次教育と、大学評価関係の仕事を専らとしています
会員と社会にとっての日本女性学会の存在意義をより高められるよう、16期チームの一員として非力を注ぎたいと思います。今期は、渋谷幹事とともに会計を担当します。正確な出納管理は最低限のこととして、歴代の会計担当幹事がそれぞれに努力されたように、財源がより盤石に確保されるよう、また、より効果的な支出が為されるよう知恵を絞れたらと思っています
西倉実季

社会学・ライフストーリー研究
ニュースレターを担当させていただきます。大学院生のときに外見の美に関する研究をスタートさせるにあたって、「私」の切実な問題関心からはじめる女性学の精神と先行業績にどれだけ後押ししてもらったかわかりません。同世代とつながりつつ、違う世代に学びつつ、微力ながら貢献できればと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
堀江有里

社会学、レズビアン・スタディーズ、フェミニスト神学
初めての幹事です(研究会担当)。会員として参加してきてわからなかったこと、疑問に思ったこと率直にうかがいながら解明しつつ歩んでいければと思っています。そして、本来「女性学」がもっている(はずの)批判的対話の場が可能になるように、かなりのビビリでヘタレですが少しでも貢献したいと思っています。普段はキリスト教のなかでの性的少数者の相談業務に携わりながら、性差別問題、日本軍「慰安婦」問題にも取り組んでいます。
福嶋由里子

女性に対する暴力、移住と女性、家族と法
今期から幹事会に入り、庶務を担当させていただきます。これまで、主に、女性に対する暴力、特に、親密な関係の中で生じる暴力について、いろんな場所で、いろんな角度から取り組んできました。初めてのことばかりですが、この学会の多様性、躍動性を次世代に繋ぐべく、微力ながら貢献できればと思います。どうぞ、よろしくお願いいたします。
吉田あけみ

家族社会学
女性の人権向上の一助となるよう、16期幹事会の一員としてがんばりたいと思います。HPを担当します。業者さんとお近くであるという地の利を活かして、HPの充実がはかれればと思っています。会員歴は長いのですが、これまでは充分な活動をしてきませんでした。今後は幹事会の一員になりましたことを機会に、積極的に学会の活動に参画していきたいと考えています。どうぞよろしくお願いいたします。