作者アーカイブ | 伊田久美子

永年会員制度のお知らせ

【永年会員制度が開始されました】

日本女性学会では、2020年度総会において、2021年度から永年会員制度を導入することを決定しました。前年度までの会費を納めている65歳以上の会員は、前年度会費額の3ヵ年分の納入によって会費完納とし、永年会員となることができます。

振り込み時に「永年会費」とお書きください。

65歳以上の会員の皆さま、どうぞご活用ください。

2021年度大会受付開始のお知らせ

みなさま
日本女性学会2021年大会を以下のように開催いたします。
日時:2021年6月19日(土)~6月20日(日)
形式:Zoomによるオンライン開催
開催にあたって、大会専用ポータルサイトを立ち上げました。
大会専用ポータルサイトURL:https://wsajonline2021.jimdofree.com
大会への参加申し込み方法、大会プログラムと要旨等を掲載しています。
また、パスワードを必要とする参加者専用ページに、シンポジウム・総会・分科会へのアクセスの詳細(url)を掲載いたします。
5月1日より受付を開始しましたので、参加を希望される方は、6月4日(金)までに、必ず「参加登録」と「参加費振り込み」を完了していただくようお願いいたします。
*大会への参加方法
①大会専用ポータルサイトから参加登録を行ってください。
6月4日(金)まで】
②参加費を指定口座に振込んでください。【6月4日(金)まで】
③参加者専用ページへのパスワードと領収書を、メールにて送付します。
当日は、そのパスワードを用いて、参加者専用ページから各会場へ入室してください。
大会実行委員会(第21期幹事会)

第2回会員研究会報告「フラワーデモ神戸オンラインセミナー」

会員研究会報告

フラワーデモ神戸オンラインセミナー

「被害者の声を尊重する社会へ――刑法性犯罪規定の改正に向けて」

 

日時:2021年1月10日(日)13:30~16:00

場所:オンライン(ZOOM使用)

当日参加者104名(後日配信希望者16名)

 

性暴力反対運動フラワーデモの開始から1年以上が経過し、性差別的な司法のありように対する怒りの声は、いまや大きなうねりとなって全国に広がっている。だが、フラワーデモの一般参加者、さらには運営に関わる人間にとっても、現行刑法の問題点や改正の論点について深く学び考える機会は、思いのほか限られているのが実情である。そこで、フラワーデモ神戸運営チームでは、日本の刑事司法が抱えるジェンダー・バイアスについて今一度広く共有するため、無料のオンラインセミナーを開催した。

本セミナーでは、フランス刑法およびジェンダー刑法を専門とする島岡まな氏(大阪大学大学院法学研究科教授)を講師にお招きした。島岡氏は、長年にわたり、性犯罪問題におけるジェンダー平等・弱者保護の視点の必要性を強調されており、現在行われている法務省「性犯罪に関する刑事法検討会」にもヒアリング出席者として参加されている。

セミナーでの講演内容は、おおむね以下の3点であった。第一に、2017年に大幅改正を遂げた現行刑法であるが、いわゆる「暴行・脅迫要件」を依然として残しており、「被害者の抗拒を不能とするほどの強い暴行・脅迫が必要」という判例・学説上の解釈・適用にも変化はない。その背景には、被害女性の性的自己決定権ではなく貞操(男系の家の血統)を保護法益とする旧強姦罪の価値観、そして性交時の暴行を許容する男性側の論理がある。2019年3月に相次いだ4件の性犯罪無罪判決は、こうしたジェンダー差別的な性犯罪規定と、裁判官の経験則にみられるジェンダー・バイアスを明るみに出すものであった。

第二に、一連の無罪判決に示される司法の問題点を解消するには、以下のような解決策が考えられる。① 暴行・脅迫要件の撤廃・緩和。諸外国では、レイプの本質を「暴行・脅迫」の有無とは無関係だとする考え方が大勢であり、日本でも不同意性交をすべて強制性交とする改正が必要である。② 「過失犯」の立法。現行刑法では強制性交等罪は「故意犯」とされるため、被告人が不注意で「同意がある」と誤信した場合は無罪となってしまう。過失強姦罪を新設したスウェーデンにならって、日本でも過失強制性交等罪を新設すべきである。③ 裁判官(法曹)へのジェンダー教育。法律が改正されても、裁判官が男性ばかりであったり、ジェンダー・バイアスが強かったりすれば、被害者に不利な判決が量産されてしまう。諸外国にならって、日本でも国の責任による裁判官教育が急務である。

第三に、いま残されている法律上の不備や裁判官のジェンダー・バイアスの問題は、日本社会全体のジェンダー不平等の反映である。暴行・脅迫要件の緩和・撤廃を達成した国々はいずれもジェンダー平等先進国であることを考えても、性犯罪問題の真の解決は、社会全体のジェンダー平等推進と人々の意識改革に懸かっているといえる。

本セミナーは、全国各地から104名、後日配信希望者を含めて延べ120名が参加する大規模なイベントとなった。参加者のなかには各地のフラワーデモ主催者も含まれており、性暴力と闘う人々の繋がりを可視化する意味でも、きわめて有意義であったといえる。事前に実施したアンケートでは「初学者として学びたい」といった声もあり、参加者の知識・関心には大きな幅があることが窺えたが、島岡氏の講演は、刑法の専門的知識をもたない人にも実に理解しやすいものであった。特に、自身のフランス留学体験から日本社会のジェンダー不平等に気づいていったという個人的エピソードは大変印象的であり、多くの参加者の共感を呼んだと考えられる。

2021年1月現在、法務省の刑事法検討会の議論は、あまり望ましい方向に進んでおらず、不同意性交罪の創設さえも実現困難な状況だという。フラワーデモ神戸運営チームとしては、司法の変革はジェンダー平等社会の実現に向けた小さな積み重ねから始まると信じて、今後も地道に活動を続けていきたいと考えている。

なお、日本女性学会からの研究会助成は、講師謝金、ZOOM有料版使用に係る月額料金、広報用チラシ作成に充てさせていただきました。ここに記して感謝申し上げます。

(文責:近藤凜太朗)