NewsLetter 第102号 2005年5月発行

日本女性学会NewsLetter

(*会員に送付しているペーパー版の「学会ニュース」とは内容が一部異なります)

女性学会ニュース第102号[PDF] 2005年5月発行


学会ニュース
日本女性学会 第102号 2005年5月

2005年度日本女性学会大会プログラム

日 時 2005年6月11日(土)・12日(日)
場 所 横浜国立大学 教育文化ホール
〒240-8501 横浜市保土ヶ谷区常盤台79-1
参 加 費 会員:無料 非会員:1,000円

 

第1日目6月11日(土曜日)
場所 横浜国立大学 教育文化ホール
開 場/受 付 12時30分
シンポジウム 13時〜16時30分
フェミニズムと戦争─「銃後」から「前線」への女性の「進出」!?を踏まえて
パネリスト 佐藤文香、海妻径子、岡野八代
コーディネーター 千田有紀
総会 17時〜18時
この間非会員向けにビデオ上映を行ないます
「30年のシスターフッド 70年代ウーマンリブの女たち」
(制作 山上千恵子・瀬山紀子/57分/2004)
懇親会 18時15分〜20時 大学会館
参加費 会員:無料 非会員:1,000円

 

第2日目6月12日(日曜日)
個人発表 10時〜12時
ワークショップ/個人発表 13時〜15時

 

シンポジウム
フェミニズムと戦争
−「銃後」から「前線」への女性の「進出」!?を踏まえて
コーディネーター 千田 有紀
 今回の大会シンポジウムでは、フェミニズムと戦争を根本的に問い直すことが課題である。戦後のフェミニズム思想では、第二次世界大戦において、女たちが「母」として、「銃後」を支えてきたことが、反省的に問い直されてきた。しかし、湾岸戦争からイラクにおける戦争にいたっては、女性が兵士として参戦するという事態が生まれ、女性が「前線」にまで「進出」してきた事態をどのように捉えるのかという問題がわたし達に突きつけられている。しかもアフガンに対する攻撃に際して、タリバンからの「女性解放」が口実として利用され、アルグレイブ刑務所において、男性性を模した女性兵士が男性を虐待している写真が全世界に衝撃を与えるなど、問題は錯綜してきている。このフェミニズムと戦争をめぐる問題の複雑性を損なうことなく、踏み込んで複雑性を解き明かし、議論することを目指したい。

交通アクセス

横浜国立大学へのアクセス
  • 横浜駅西口バスターミナルより乗車(西口は高島屋、ベイシェラトンホテル側)
  • 相鉄バス 10番乗り場 (交通裁判所循環)岡沢町下車→正門
    10−15分間隔、バス所要時間15−20分 徒歩3分
  • 横浜市営バス201系統 14番乗り場(循環内回り)岡沢町下車→正門
    毎時50分に1本のみ、バス所要時間10−15分 徒歩3分
  • 岡沢町バス停からは、前方歩道橋をわたり、右側道 沿いに歩き、階段を上ると正面に守衛所。
  • タクシーは、バスと同じターミナルから、1200−1500円 横浜国立大学正門へ。
  • 【横浜市営地下鉄】三ツ沢上町駅下車→徒歩約16分(正門)
    新横浜からは10分で便利ですが、徒歩距離はかなりあります。横浜駅からバス利用のほうがお勧めです。
    なお、お急ぎの場合タクシーは1500円ぐらい。
  • なお、バスターミナルの乗り場地図、岡沢町からの大学へのアクセスは、横浜国立大学ホームページのアクセスマップをご参照ください。

 

■大会事務局からのお知らせとお願い

  1. 懇親会参加費は4,000円です。当日受付にて申し込んでください。
  2. 第二日目の昼食弁当(600円)希望者は第一日目に受付にて申し込んでください。
  3. 宿泊に関しては、各自が手配してください。新横浜駅、横浜駅および会場周辺に比較的安いホテルが多数あり、インターネットでも検索できます。
  4. 書籍販売は、各自が責任をもって、持ち込み・管理を行なってください。

学会からのお知らせ
■学会誌に関する記事の訂正

前号ニュースレター掲載の学会誌編集委員会よりのお知らせの誤りを次のように訂正します。
「学会誌編集委員より投稿締め切り時期変更のお知らせ」
『女性学』第13号編集委員会(誤)
→『女性学』第12号編集委員会(正)
・「2005年度日本女性学会誌『女性学』12号投稿原稿募集」
12号(誤)→13号(正)

■2005年度会費納入のお知らせ

2005年4月より新しい年度になりました。
同封の郵便振替用紙で、2005年度会費7,000円(2004年6月12日の日本女性学会大会総会で承認されました)をできるだけ早めにご入金くださいますようお願いいたします。

■会員による研究会の企画募集

大会が年一回に減ったことを受け、研究会を活性化していくことになりました。幹事会企画研究会を年に数回おこなう他、会員個人やグループ(自主的研究・運動グループ)のイニシアチブによる研究会についても、学会として経費補助や情報宣伝などを行って行くことになりました。
そこで、会員の皆様からの意欲的な研究会の企画をお待ちしています。詳細のお問い合わせは、研究会担当幹事(伊田広行・内海崎貴子)まで。

■日本学術会議公開シンポジウムのお知らせ

日本学術会議第一部ジェンダー学研究連絡委員会では、以下のような内容で、シンポジウムを開催いたします。学校における男女平等教育のあり方や大学におけるジェンダー学教育のあり方などに関心を持つ方、ぜひご参加ください。

シンポジウム「教育とジェンダー」

日時 平成17年6月13日(月)16:00〜19:00
会場 日本学術会議2F大会議室
(〒106-8555 東京都港区六本木7-22-34
Tel. 03−3403−5706)
主催 ジェンダー学研究連絡委員会
共催 日本女性学会、ジェンダー史学会、国立女性教育会館
プログラム
司会 江原由美子
(ジェンダー学研究連絡委員会委員長、日本学術会議第1部会員、東京都立大学教授)
佐藤  学
(ジェンダー学研究連絡委員会委員、日本学術会議第1部会員、東京大学大学院教育学研究科研究科長)
報  告
(1) 「教育とジェンダーをめぐる諸問題」 国際基督教大学教授 藤田秀典
(2) 「大学文化とジェンダー」 東京女学館大学教授 天野正子
(3) 「教員養成・研修とジェンダー」 東京学芸大学教授 村松泰子

■『日本女性学会学会誌』を発行しました

日本女性学会『日本女性学会学会誌』
新水社、12号/2005年3月15日発行

定価2500円(税込)
特集 ウーマンリブが拓いた地平
基調講演「自縛のフェミニズムを抜け出して─立派になるより幸せになりたい─」 田中 美津
1980年代以降の女性運動とリブ─「女性に対する暴力」をめぐって 原田恵理子
引き裂かれた「女」の全体性を求めて 千田 有紀
フェミニズムとアカデミズムの不幸な結婚 菊地 夏野
投稿論文
下田歌子の社会構想と「手芸」 山崎 明子
強姦事件捜査にみる犯行動機−「性欲」という語彙 牧野 雅子
研究ノート
日本キリスト教婦人矯風会と五銭袋運動−1910年代後半の廃娼運動資金募集活動を中心に 楊 善 英
書評
ベル・フックス『フェミニズムはみんなのもの─情熱の政治学』 伊田 広行
金井淑子その他編『岩波 応用倫理学講義 5 性/愛』 吉田 俊実
Christopher Carrington, No Place like Home: Relationship and Family Life among Lesbians and Gay Men, Gillian A. Dunne (ed.), Living“Difference”: Lesbian Perspectives on Work and Family Life 釜野さおり

<書評>

9LOVE編 『9をまく』 大月書店 2005年

イダヒロユキ

ちょっといい本が出た。憲法9条や戦争/平和をめぐっていろいろな議論があるが、これはそれらとは少し違った角度から「9」をキーワードに、日常生活・足元の暮らし方に「平和/戦争放棄・軍隊放棄」の精神を見出そうとする。それは、パンを焼くことだったり、サーファーが海を守ることだったりもするが、とにかく、日本中に、世界中に、名もなき人々によっていろいろなことが行われ、考えられている。それを集めていく中で、「9」に命を吹き込もうとしている本なんだと思う。

とくに僕が気に入ったのは、沖縄のガンジーといわれるおじいちゃんの次の様な言葉だ。「武器をもたないで生きるものはすべて神様、宗教語でいうと善と考えるようになりました。あそこに歩いている鶏も生まれたときから死ぬまで人間のために奉仕し、人間がいくら卵を盗んでも武器を持って取り返しにこない。これも神様。」

また鶴見俊輔さんの「日本の知識人の記憶の短さ、○○はもう古いという批判の仕方、そういうことへの無自覚」という批判。大きな戦争というものはとめられないように感じるかもしれないが、そういうまともな人たちの言葉や行動を受け取り、受け継ぎ、自分がまたそういう思想を持つ存在になっていこうとするところに希望を見出す力がこの本にはあふれている。

僕にとっては、「10点満点」に対して、「減らす」「捨てる」「クールダウン」ということの積極さを「9」が示しているというような発想が印象深かった。走り続けなくてはという強迫観念から離脱すること、捨てること、ものや仕事を減らすこと、上からではない形で差し出すこと。僕にとっての大きな課題のヒントがここにもあった。