NewsLetter 第85号 2001年2月発行

日本女性学会NewsLetter

(*会員に送付しているペーパー版の「学会ニュース」とは内容が一部異なります)

女性学会ニュース第85号[PDF] 2001年2月発行


学会ニュース
日本女性学会 第85号 2001年2月

新企画:誌上シンポジウム

フェミニズムの障害

今年から学会大会が年一回になりました。これを補足し、学会活動をさらにパワーアップしていくために、研究会の充実を図るとともに、ニューズレター紙上でも「誌上シンポジウム」をもつことになりました。その第一回として、前号の次のよ うなよびかけに、いくつかの声が寄せられました。

◇コーディネーター よびかけ

  細 谷  実

フェミニズム パラパラほども 広まらず
言うまでもなく、上記は華城の句のパクリです。「パラパラ」とは、20世紀の終わりの日本の若い女性たちの間で流行している踊です。もちろん、体制的でない思想は、基本的には少数派の位置に甘んじる覚悟も必要でしょう。毒を失い牙をなくし志を捨てて多数派になっても仕方ないです。しかし、フェミニズムは、自分たちのみが清く正しくあることでよしとする道徳運動ではありません。他者への働きかけによる味方・共鳴者・理解者の拡大も必要でしょう。そこに、いくつかの障害が横たわっています。
1、 フェミニズム自体の問題性
2、 伝統的保守イデオロギー(前近代的ジェンダー観と近代的ジェンダー観の双方 )
3、 ポストモダン・イデオロギーのある種の傾向
4、 新自由主義的な個人主義と能力主義
2は、これまでにも多く分析されていますが、最近、ヴァージョン・アップして登場していると思います。1・3・4は、断片的にしか分析されていません。1−4の障害について、フェミニズムの戦略的視野に立っての検討が欲しいところです。

◇変わらない現状

   橋 本 ヒロ子

女子大学では:
私の所属する女子大学は、高校生の共学志向の流れの中で、学園創設者の遺志を受け継いで、女子大として存続することが課題となっています。2000年4 月、女子大として生き残り隆盛を取り返しつつあるアメリカの有名女子大へ情報収集に、理事長他数名の教員で渡米しました。その報告会を諸般の事情で6ヶ月遅れでやっと教授会に引き続き行ってもらえました。女性学をコアにすることで女子大として存続できたことも報告した時の教員の反応は興味深いものでした。 50〜60代の男性教員から「女性学は結局滅びてしまったマルキシズムと同じようなイズムではないか」(元某大新聞のワシントン支局長)、「中ピ連とどう違うのか」という類の質問。40代以上の女性教員は相対的に好意的でしたが、それより若い層の教員は男女とも無関心という印象を受けました。これからどう進めていけば良いのでしょうか。

自営業女性と農村女性の実態は:
自営業女性の調査結果が最近報告されました。売上等収入が減り、銀行等金融機関からも締め出され、13.3%が高利貸し業者から借り受け、国民年金の保険料支払い困難層が21%、国民健康保健の保険料の滞納が18.1%の業者にありました。日本のODAは今年も世界一ですが、確実に貧困層に占める女性の割合が増えています。
新潟県で条例や行動計画の市民案を策定している女性団体に関わっています。新潟県では農家女性の経済的自立を促進する家族経営協定を結んでいる家族は0.4%に過ぎません。自分名義の預貯金等を持っていない女性が35%もいます。
和歌山県は近畿地方では最も家族経営協定を結んでいる農家の割合が高く8147戸中340戸ですが、それでも4%です。この協定を推進している農業改良普及センターによると、協定が普及しない最大の理由は、「家族の中で協定など水臭い」ということだそうです。総理府が昨年12月に発表した男女共同参画基本計画には、家族経営協定が入っていません。1996年に策定された2000年プランには農林水産省が進めるべき施策として入っていました。基本計画で入らなかったのは、閣議で検討する際、与党からこのような制度は家族を破壊するという反対が入ったからだというふうに仄聞しました。日本の町村議会の50% 以上には女性議員が一人もいません。

(十文字学園女子大学教員)

 

◇総プロ化の弊害

藤 田 嘉代子

細谷さんが提起した誌上シンポジウム<フェミニズムの障害>に寄せて、やや若手の立場から日頃感じていることを、述べたいと思います。私が以下で述べようとしていることは、細谷さんの整理された四点のいずれかにぴったりあてはまりませんが、あえて言えば、「フェミニズム自体の問題性」かと思います。
私が、日々若い女性に接していて感じるのは、フェミニズムのメッセージが、そういう届くべきところに届いていないということです。特に恋愛・セクシュアリティの点に関してそう思います。そういった領域は、厳然としてある、リジッドな女性差別に対していかにも軟派というか、取るにたらない領域と思われているからでしょうか。しかし、恋愛やセクシュアリティという、関係性のあり方の部分が、家父長制という強大なイデオロギーと複雑にリンクし支えることになっているのはご存知の通りだと思います。
『女・エロス』やウーマンリブのころ、あるいは80年代くらいまで、作品としては未完であっても、それなりに生の声や切実な悩みとかが、流通していたように思います。しかし、今は、フェミニズムとして恋愛・セクシュアリティについて発信しているのは、北原みのりさんなどの活動を除くと、非常に少ないといえるのではないでしょうか。単的に言ってしまえば、若い女性にとって「参考に出来るものがな
い!」状況なのです。
それは、良くも悪くもフェミニズムが「プロ」化し、フェミニズムと言えばあたかも女性学という「学」をさすかのようにになってしまい、そこだけが焦点化されるようになったことの一つの帰結なのかもしれません。今や、それらのニーズはフェミニズムでない領域、内田春菊などのマンガとか、椎名林檎などのポピュラー・ミュージックとか、それから、フェミニストと自称しないライターによる文章などによって担われているように思います。しかし、それ自体はフェミニズムの拡散という意味でいいことなのかもしれませんが。
また逆のことをいうようですが、フェミニズムの言説の総量は依然として少ないとも言えるとも思います。私が住んでいるニュータウンの地元の書店には、その種の本はほとんどありません。確かに、文庫になっている本は、学陽書房の女性文庫を除くとほとんどありませんものね。
話があっちこっちしてしまいましたが、フェミニズム自体が抱えている問題としてここで私が言いたいのは、総プロ化というか、実際プロかどうかは別にして、プロ的な発言がとても多くて、今現在恋愛やセクシュアリティについて問題状況に置かれている女性に対して、届くものがあまりにすくな過ぎやしませんか、ということなのです。洗練された「思想」ではない、リアルで具体的な経験に基いた声は、いつの時も一定程度必要と思うからです。

(甲南女子大学大学院)

 

◇大学におけるフェミニズムの戦略的問題

日合 あかね

女性のフェミニズム離れは、私が所属する大学の学生にも見られる傾向である。彼女たちの言い分は一様に「押し付けがましい」というものであった。何故フェミニズムが20代の女性、特に学生にとって押し付けがましいものとして認識されるのであろうか。ここには、大学におけるフェミニズムの戦略的問題があると思われる。
1990年代を学生として過ごした私たちにとって、大学内のフェミニズムは、社会的に一定の地位が確立され、一般化された既成の「理論」として、講義で教授されるものであった。ここにフェミニズムと学生の考え方との間に齟齬が生じる問題点がある。こうして教授される「理論」は、権威を持った既成のものとして、固定的で他の方向性を認めないかのようなイメージを与え、一般化ゆえに個人的な問題意識にまで届くことのない、よそよそしいものという印象を与えがちであった。また、ポストモダン的風潮の強い社会で、カテゴリー分けを嫌って個人的嗜好に傾く学生たちにとって、「女」という同一性を優先させるフェミニズムは、パターナリスティックなものであるかのように受け取られる傾向があった。加えて、「女性抑圧の構造」という現実は、学生であるがゆえに男女の差異による不自由をさほど感じずにいられる女子学生にとっては、まだ実感を伴うものではなかった。したがって、女性抑圧の構造の精緻な理論的分析は、性急な実際的処方箋を求めるマニュアル世代の学生には、かえって平等社会に対する自分の素朴な信仰を打ち砕き、意気阻喪させるものとしか見えない。そこに、フェミニズムに対する不信感が生じたのである。
この問題で最も優先されるべき課題は、フェミニズムの現段階についての評価・検討であろう。上述のように、教壇からの啓蒙的介入の困難は、フェミニズムがある程度の地位を占めたことを表す。フェミニズムは次の段階に移らねばならない。そのことを踏まえた上で、フェミニズムが今後採るべき戦略を考察する必要があるのである。 (神戸大学大学院)

コーディネーターより再びよびかけ

細谷 実

今回3人から発言がなされました。
そのうち、橋本さんの「自営業・・・」は、イエ的意識とその土台としてのイエ的経営体が支配的な産業分野における「障害」の話です。そこにおいて保守政治家が強く、かつその基盤を死守しようとしている事態も指摘されています。さらには、そういう政治家は国政レベルで発言力を持っていて都市部住民のフェミニズムにとっても「障害」であることも述べられています。大問題です。
藤田さんが論じるフェミニズムのメッセージの回路は、学校の内外双方のことでしょうが、学校内で考えますと橋本さんの「女子大学では」と日合さんの「大学における・・・」と重なる問題です。大学では、なお家父長的教授連(男)が健在の上、学生たちも授業で与えられるフェミニズムのメッセージを「押し付けがましい」、自分たちの切実な悩みに「参考に出来るものがない!」と見ていることが述べられています。
ここでは、家父長的教授連のことは置いときます。「フェミニズム自体の問題性」については、
(1) 一般に、現在のフェミニズムのメッセージは、現在の20歳前後の人々の関心やニーズから解離しているか?
(2) 解離しているとしたら、なぜか、また、それをどうするべきか?
(3) もしも授業が学生からの何らかのフィードバックを受けながら進められるものだとしたら、なぜ学生の関心やニーズと現在の女性学的授業がかくも解離しているのか?
とりわけこの3点について、また、自営業や農村での問題について、また、その他の問題について、ぜひとも皆様のご発言をお寄せください。
800字を越える長い原稿は、こちらで勝手に短縮させていただくこともあります、悪しからず。

渡辺和子さんを悼む

会員の渡辺和子さんが昨年12月25日に逝去されました。享年57歳でした。
渡辺さんは、日本女性学会の発足後まもなくの1982年に入会されました。アニメ「まいっちんぐマチコ先生」に抗議する会代表として、行動への協力のよびかけを学会に寄せてこられたのがきっかけでした。
その後、第3期(1984-1986)・第6期(1990-1992)・第8期(1994-1996)・第10期(1998-2000)の4期にわたって学会幹事を勤め、学会を引っ張ってこられました。
そのほか、1994年の春季大会で分科会「キャンパスにおけるセクハラとその背景」を主催され、この分科会の参加者を中心とする有志が文部大臣あて「キャンパスセクハラに関する声明」を作成し、翌年春季大会の翌日文部省へ持参した、ということもありました。この学会ニュースにも、幹事として、大会の発表やワークショップの報告、国際会議の報告などたびたび投稿してくださいました。
渡辺和子さんのこれまでの女性学と日本女性学会への貢献に感謝するとともに、ご冥福を心より祈りたいと思います。

渡辺さんを悼む

河野 貴代美(日本女性学会代表幹事)

渡辺和子さんと、呼びかけたところで、あなたは答えてくれないのですね。異次元に飛んだあなたは、きっと身も心も軽くなっていることでしょう。呼びかけなど聞こえないくらいに。
ご病気は、アメリカでの治療でとてもよくなられた、と聞いていた私達には突然の訃報でした。
FemNetにリンクされた追悼ページにNYでの女性会議に出席されたあなたの笑顔が載っています。その後、わずか半年。あなたご自身が残念だと思われるひまもなかったのかもしれません。だから私達もそうは思わないでおきましょう。
去年6月の学会前の幹事会でお目にかかった時、ビルの入り口で、いきなり、これからテレビに出るから忙しいんだ、とかやや興奮気味におっしゃるのだけれどよくわからない… あなたの話し方は、こんな風に時に脈絡を欠きましたね。その時心を占めていたものを、場面が異なったからといってすっと、切り替えて状況に合わせる、ということが上手じゃなかったと言えばいいか。こう書きながら、まさしくあれはあなたらしかったな、と思います。
私達は、あなたの業績をよく知っております。暴力の告発に関しては、そのイニシアティヴをとられた一人でした。損得をあまり考えない勇気というか動機には、誰にもひけをとらないものがおありになったのでしょう。私の記憶に間違いがなければ、確か、京都産業大学で教員組合を作られた(その呼びかけ人の一人?)のもあなたでしたか?いうまでもなく、このような動きは、「出世」や「風あたりの無さ」には不向きです。ある意味では、マイノリティにご自分のアイデンティティを置かれていたのでしょうね。
「別にそんなの、やりたいからやっているのよ」とおっしゃる声が聞こえます。でしょうね。渡辺さん、あなた、やりたいようにやってこられたのよね。私達も、あなたのそう長くもなかった命を残念に思うのはやめて、やりたいようにやってこられたあなたの人生をshareしましょう。そして私達みんなもそうあれるように、残りの時間を生きていきましょう。
反差別と反暴力の灯火を掲げながら、私達は、その遅々とした歩みを進めていきます。もし私達の灯火がチラリとでも見えたら、電波を送って下さい。こういうものを受け取るのがうまい人はいるのですよ。
渡辺さん、安らかに、安らかにお眠りください。あなたは、それぞれの心のなかにそれぞれに生き続けることでしょう。

告別式での友人代表弔辞

姫岡 とし子

渡辺和子さんには、本当にたくさんの友人がいます。そのなかで私が代表して弔辞を述べさせていただくのは、偶然にも、和子さんの最後のレストランでの夕食を共にし、また病院での最後の晩餐を見守り、病床で意識不明になる前の最後の言葉を聞くめぐりあわせになったからです。
一緒に食事をしたのは11月24日金曜日、和子さんが最後に緊急入院をする丁度一週間前のことです。そのとき彼女はとても食欲旺盛で、また4月から大学に復帰して教えるんだと力強く語っていたため、容体急変はまったく予想外のことでした。最後の晩餐は、おかゆを二口ほど口にしただけ。でも彼女は元気になるためには食べなくてはならない、人間、食欲があるうちは死なないと自らにいいきかせるように必死で食べようとしていました。彼女の最後の言葉は、何と「帰って」でした。重病人扱いしてほしくなかったのだと思います。最後まで生きることしか考えていなかった、そして生きるために、あらゆる手段をつくした和子さん、さぞかし無念でしょう。私たちも至極残念です。まだまだ一緒に語り合いたい、語り合うことが山ほどあるのに。和子さんの病気が発見されたのは、昨年のちょうど今頃です。3ヶ月前にお母さんを同じ病で亡くされ、それが早期発見につながったと、彼女は説明して
> いました。しかし、病状はもっと深刻だったようで、彼女は日本では認可されていない薬が使えるアメリカでの抗ガン剤治療と手術という道を選びました。どんな進行癌でも、こんなにたくさん治療のオプションと成功例があるよと示してくれるアメリカの医療に、彼女は希望をみいだしたのです。彼女がもっとも重視したのは、治療中のクオリティ−オブライフです。幸い副作用もほとんどなかったため、アメリカでは美術館やコンサ−ト、友人たちとの食事会など、一方ではソ−シャルライフを満喫し、他方で6月にニュ−ヨ−クで開かれた「北京プラス5」会議でワ−クショップを主催したり、政府間会議のロビ−活動を展開したりと、活発に女性運動を続けていました。アメリカでの治療と充実した日常生活、他人にはまねのできない、こんなすばらしいことをやってのけられたのは、あなた自身がフェミニズム・グロ−バル・ネットワークの生みの、育ての親だったからです。和子さんは専門のアメリカ文学でも多くの業績を残しました。しかし、あなたの人間性がもっとも発揮されていたのは、自身が先頭にたって牽引したフェミニズム運動です。メディアにおける性差別、性暴力、女性学教育、セクシュアルハラスメントと、いつも陣頭指揮者で切り込み隊長、理論的支柱でした。あなたのすごいところは、時間と忍耐を要求される裏方の仕事も、きっちりこなしていたことです。あなたは、とても優しい人でしたね。深夜まで電話やメ−ルによるセクハラ相談に応じて、いつも睡眠不足。気がつけば、研究室で夜明かししていたなんてこともしょっちゅうでした。「あなたの得意技は居眠り」だと私は冗談をいっていたけれど、まさに骨身を削っての活動でしたね。おかげで、どれだけ多くの人があなたの活動で救われ、あなたからエネルギ−をもらったことか。そんなあなたを失うことは、世界のフェミニズム運動にとってはかりしれない痛手です。日本でも海外でもフェミニズム関連の大きな会議があると、主催者やパネリストである場合はもちろん、一人の聴衆としても、いつもあなたはちゃんとその場にいました。あなたの好奇心と行動力、パワ−とエネルギ−には、誰もが脱帽します。誰にもまねはできません。人間機関車和子号は、休むことなく走り続けてきました。これからは、ゆっくり眠ってください、なんて私はとてもいう気になりません。居眠りであってほしい。天国からときどきひょっこり顔を出して、私たちをエンパワ−メントしてくださいね。

女性センター情報

東京女性財団廃止!? 東京ウィメンズプラザ直営方針に女性たちの反対運動強まる

 婦人民主クラブ 赤石 千衣子

東京都は、11月22日東京ウィメンズプラザ(95年開設、佐藤洋子館長)を管理運営する東京女性財団(92年発足)を廃止することを決めた。財政悪化を受けて監理団体の見直しを行い62団体のうち真っ先に廃止が決まったのだ。
しかし、男女共同参画条例ができたのは1999年。女性に対する暴力へのとりくみもこれからだ。唐突な決定に疑問が起こっている。
都は直営によって7200万円の歳費削減を行えるという。
女性センターの公設民営化による弾力的な運営は時代の流れ。なぜ、あえて直営にするのか。
東京都生活文化局は、「女性問題が解決したとは思っていないが、ゼロベースで監理団体を検討した結果だ。企業の参画促進のためには直営の方がメリットがある、DV相談は予算を増やした」と「実」を取ったと強調する。
しかし、背後に女性問題へのバッシングを読みとる人は多い。性別役割分業に触れる「ジェンダーチェック」の内容について、都議会議員からクレームがついたらしい、従軍慰安婦問題に助成金を出すのが都知事は気にいらないらしいなど非公式の情報も入ってくる。少なくとも、助成金の審査会などで、今後政府の方針に反する女性問題に対して、今までと同じように助成金がつくかは疑問だろう。
こうしてみると予算だけの話ではない。
理事会、評議会も廃止に反対のため、最悪の場合女性財団廃止が決まらないまま、予算ゼロで兵糧責めもありうる。
東京女性財団問題は2月の定例都議会では、焦点のひとつにもなりそうだ。すでに東京・生活者ネット、共産党、公明党、民主党もほぼ、廃止に反対を表明している。
女性問題軽視は全国に波及しかねない。国際婦人年連絡会が提案した女性財団存続を求める署名活動へのご協力をお願いします。

☆緊急集会☆
(仮)女性無視の東京女性財団廃止

ウィメンズプラザ都直営化に反対する緊急集会
■日時  2月12日(休) 午後2:00
■場所  東京ウィメンズプラザ・視聴覚室
連絡03(3402)3238 ふぇみん・婦人民主クラブ
femin@jca.apc.org

遺伝子研究倫理指針

文部科学省研究振興局生命倫理・安全対策室より、学会宛「ヒトゲノム・遺伝子解
析研究に関する倫理指針(案)」が送られてきました。ご覧になりたい方は、庶務
幹事内藤までご連絡ください。

会員からの情報

女性国際戦犯法廷を終えて

瀬山紀子(お茶の水女子大学 大学院生)

昨年暮れ、東京で女性国際戦犯法廷(2000年12月8日−12日、国際公聴会を含む)が開かれた。この法廷は、韓国挺身隊問題対策協議会、フィリピン・女性の人権アジアセンター、「戦争と女性への暴力」日本ネットワーク(VAWW-NET Japan)を中心に、朝鮮民主主義人民共和国、中国、台湾、インドネシア、マレーシア、東チモール、オランダなどの団体や個人、国際諮問委員会、公聴会によって準備、開催された民衆法廷で、そこでは、旧ユーゴ国際戦犯法廷前所長であるガブリエル・マクドナルドを裁判長とする四人の裁判官によって日本軍による第二次大戦前及び大戦中の性暴力(性奴隷制)が裁かれた。法廷では、被害各国による起訴状が提出され、被害者でありサバイバーである女性たちによる証言が語られ、同時に参考人、専門家証人、また加害兵士による証言が語られた。法廷に参加した各国の被害者とその支援者は、あわせて400名を越え、法廷は日本軍性奴隷制からのサバイバー同士が出会い、語りを聞きあう場になり、加害国である日本の元兵士による証言にサバイバーが歓声を上げる場にもなった。法廷の傍聴人は、連日千人あまりに達した。
法廷は、4人の裁判官のサバイバーによる証言の断片の朗読と東京裁判で性暴力を裁き得なかった旧連合国の責任、また天皇裕仁が日本軍性奴隷制を黙認し、それを防止しえなかった故に人道に反する罪を有すること、その他、国連への勧告などが言い渡され閉廷した(判決文全文は、3月8日に発表される)。この法廷は、判決日の裁判官による判決文の朗読が意味したように、証言者として来廷したサバイバーの一人ひとりが今に至るまでの長い間、さまざまな形で苦しめられ続けている被害経験を受けとめ、その語りをくり返し聞き、くり返し心にとどめ、わたしたちが聞いたその被害経験を元に日本軍性奴隷制を裁くということに意義があったと感じた。
私は、法廷記録班のメンバーとして法廷で使うためのビデオによる被害証言の撮影、編集に関わり、現在は法廷の記録ビデオを作成している(法廷に関連したビデオに関する問い合わせは、ビデオ塾まで)。

渡辺和子さんを偲ぶ会ご案内

会 員 有 志

私たちの友人渡辺和子さんが昨年12月25日に、駆け足で去っていかれました。渡辺さんを偲びつつ、彼女が私たちに残してくださったもの、私たちとともに目指してきたものなどを、いま改めて語りあいたいと思います。彼女の意思や抱負を多少とも分かち合うことができれば、きっと天国でも元気に活動を続けることができるのではないでしょうか。渡辺さんにまつわる多彩な話題をもってご参集くださいますようお願いいたします。
日時:3月20日(火・休日)午後2時より5時まで
場所:ホテル・パステル京都
京都市中京区東洞院通三条下ル三文字町215-1
電話075-213-0111(代)
(地下鉄「烏丸御池」駅5番出口から、三条通りを東へ、
中京郵便局前を南へ下がり、すぐ西側、徒歩3分。
阪急「烏丸」駅から東洞院通りを北へ、徒歩7分)
会費:1万円
※なお、会費の一部は、後日出版します渡辺和子さんの追悼集に充当し、当日参加いただいた方々にお送りいたします。追悼集への寄稿など、詳細については後日改めてご連絡いたします。
呼びかけ人(順不同)中西豊子、米林安子、三宅川泰子、小貫慶子、三木草子、荻野美穂、
姫岡とし子、田辺玲子、福岡和子、牟田和恵、伊田久美子、松井京子、田中かず子、楠瀬佳子
連絡先:松香堂内、中西豊子

会員の著作

学会に寄贈がありました
飯野正子・亀田帛子・高橋裕子『津田梅子を支えた人々』有斐閣

訂正

前号のお知らせに誤りがありました。以下のように訂正します。
振込先 (年会費以外)
誤:東京信用金庫 本八幡支店
正:東京東信用金庫  本八幡支店
口座名  日本女性学会 代表 河野 貴代美(かわのきよみ)
口座番号 普通預金 3042505