NewsLetter 第92号 2002年11月発行

日本女性学会NewsLetter

(*会員に送付しているペーパー版の「学会ニュース」とは内容が一部異なります)

女性学会ニュース第92号[PDF] 2002年11月発行


 

学会ニュース
日本女性学会  第92号 2002年11月

 

男女共同参画関係条例をめぐる動き

 

●「男女共同参画社会」をめぐる論点と展望に関するプロジェクトの発足

「男女共同参画社会の形成」が政策課題として市民権を得、主流化しつつある一方、これを批判し反対する動きも顕在化していますので、日本女性学会幹事会では、「男女共同参画社会」をめぐる論点と展望に関するプロジェクトを立ち上げました。
第4回世界女性会議後、日本政府も北京行動綱領が各国に勧告している男女平等を進めるための制度的仕組みに遅まきながら取り組んできました。1999年に男女共同参画社会基本法、2001年には内閣府に男女共同参画局が設置され、いわゆるDV法が制定されました。そして、2000年から始まった地方自治体の男女平等条例の制定は、2002年9月末には37都道府県71市区町で制定されています。条例制定は、急激な勢いで全国に広がってきました。基本法には盛り込まれていない特徴のある積極的改善措置や苦情処理機関など盛り込んだ条例も少なくありません。ところが、2001年の大阪府の条例制定あたりから、反動的な動きが強くなってきて、名称の「男女共同参画推進条例」とは全く逆行したこれまでの固定的性別役割分業観を賛美するような条例まで宇部市で制定されました。
反動派は、千葉県、千葉市、さいたま市、前橋市などで、次々と行動を起こしています。幸い千葉市は全国の女性からの署名運動などが効を奏して、懇話会原案どおりの条例が制定されましたが、千葉県は危機的な状況にあります。
反動的な動きは、条例だけではなく、ジェンダーに敏感な家庭教育のためのパンフレットや性と生殖の健康と権利を具体的に述べた性教育パンフレットも攻撃を受け、発売禁止などの措置がでております。
日本女性学会では、このような情況と議論を整理・精査する必要があると考え、「『男女共同参画社会』をめぐる論点と展望」のプロジェクトを立ち上げました。内藤和美幹事を研究代表者(研究分担幹事:戒能、国信、橋本、船橋、細谷)として文科省の科学研究費を申請して調査研究を行うとともに、研究会を実施することになりました。2002年内には、次のようなテーマで2回の研究会をお茶の水女子大学で開催することになりました。
第1回 条例をめぐる動き(開催済)
2002年11月2日(土)13:30−16:30
第2回 論点の整理
2002年12月14日(土)13:30−16:30
来年も継続して研究会を行い、大会のメインイベントに集約する予定です。研究会の成果については、その都度ニュースレターでご報告します。多くの会員の方の参加を期待します。

●「千葉県男女共同参画社会の促進に関する条例(案)」に対する抗議声明

9月千葉県議会に上程されました「千葉県男女共同参画社会の促進に関する条例(案)」に対する、自民党千葉県連の、修正要求および継続審議の決定など一連の動きを、私たちは、心から遺憾に思い、ここに同県連に抗議の意を表します。
自民党千葉県連は4項目修正要求をしました。その中でも第16条での「性別にかかわりなく」を「男女の違いを認めつつ」に変更すること、第17条での性の自己決定を表した「自らの意志により」を削除することは絶対に認めることはできません。さらに20箇所に及ぶ修正を含んだ自民党案が12月議会に提出されるかもしれないという噂まであります。このような事態は、人権尊重に根ざした、差別の無い、平和な社会の実現に向け、男女共同参画の推進に取り組んできた国内外の女性運動の成果をふみにじるものであり、女性解放にむけた歴史に棹をさすもの以外なにものでもありません。
周知のように、本条例の制定は、「日本国憲法」、及び1979年国連で採択され、1985年に日本政府も批准した「女性差別撤廃条約」の精神に基づく「男女共同参画社会基本法」に依拠したものです。同法は、その前文において「性別にかかわりなく、その能力と個性を十分に発揮できることができる男女共同参画社会の実現は緊急の課題となっている」と謳っています。また、基本理念の最初に人権の尊重が掲げられています。
人権が尊重される社会とは、性別にかかわりなく、自分らしさ、および、その可能性が発揮できて、しかもそのことが公正に評価される社会、自分を愛せる社会、自分を大切に思うのと同じ重さで相手を大切に思える社会、希望あるものとして将来が展望できる社会、さらに女性でも男性でも、障害の有無、国籍如何にかかわらず、挑戦できる社会です。
失業率が上昇し、女性労働のパート化、低賃金による深夜、休日労働の増加、男性労働の女性化が進むなか、男性の中高年の自殺者は世界2位という今日的状況は、女性にとっても、男性にとっても幸せな社会とはいえず、人権を尊重する社会とは言えません。
「基本法」および「条例」は、男女共同参画の推進が、このような現状を打開し、社会を活性化していくためにも不可欠であり、緊急な課題であるという認識にたったものです。
その意味において、自民党千葉県連の本議会における修正要求や継続審議の決定は、現状認識や人権感覚が不十分、かつ国内外の時代の流れに逆行するものであり、「女性差別撤廃条約」や「基本法」の理念と相矛盾するものといえます。
女性差別の撤廃のための知の構築を目的として、1977年に設立されました日本女性学会の会員である私たちは、このような性別役割を固定化し、女性差別を再生産するような性別特性論を明文化した条例制定を、議会の圧倒的多数である「数の論理」で、しかも全員男性が、成立させようとする暴挙に対して、強く抗議いたします。

2002年10月18日

自民党千葉県連会長 森 英介殿
同幹事長 金子和夫殿

日本女性学会幹事会有志

 

●千葉県男女共同参画条例をめぐる動き

船橋 邦子

9月議会に上程された「千葉県男女共同参画の促進に関する条例」は、審議延長、12月議会に持ち込みとなった。15日本会議終了を受けて、敏速に抗議行動の必要性を感じ、抗議文のたたき台を作成し幹事会の幹事全員にメールで送り、その結果、有志の名前で自民党千葉県連会長、幹事長、議会で反対の質問をした議員に10月18日にファックスした。
抗議文に問題点をかいているので、参照していただきたい。今後の動向は参院選補選の結果によるとの判断で、反自民の候補者である若井さんの推薦人になり、応援したが負けてしまった。今回の補選の結果には、もうこの国は絶望的だと、政治に関わることにも嫌気がしている。民主党も社民党も、もううんざり、というのが正直な気持ちだ。でもそんなことは言っていられない。この調子では自民党は勢いづいてとんでもない修正案が12月議会に出てくる可能性も濃厚だ。千葉県でとんでもない条例が成立したら千葉県だけの問題ではすまない。しかし97人中67人が自民党議員でしかも全員男性である。最強の反対議員は松下政経塾出身の30代。プロライフ派。バックに宗教団体、神社本庁、遺族会がついている。バックラッシュ研究は、このあたりの分析から始める必要があるように思う。
運動としては反対派は全国的に声をあげている。日本女性学会会員の方々も抗議のファックスを送っていただきたい。

ファックス番号

自民党県連 FAX 043−225−4011
自民党幹事長 金子和夫 FAX 047−335−4161
その他抗議をして欲しい議員は
代表質問した 遠藤澄夫 FAX 0478−86−2497
反対の一般質問をした 谷田川元 FAX 0478−52−6991
同じく 阿井伸也 FAX 0475−73−1465
絶対反対の 飯島重雄 FAX 0479−63−6323
酒井 巌 FAX 043−246−8306

 

●一般向けプロ・フェミHPの提案

細谷 実

夏にさるリブの人と話をしたら、「フェミニズムの学者さんたちは、なんで一般向けのフェミ系HPを作らないの?」と言ってました。
そういえば、佐藤文香さんが、研究者リスト的なものを作っている他、あまり知らないな。何でかな?
◇忙しいから。でも、優先順位の問題だ。優先順位が高いと考えれば、他を差し置いてもするはず。
◇IT弱者が多い。ぼくのことです。でも、そうでない人も多い。
◇個人HPは学界的業績にならない。下司の勘ぐりか。
◇社会教育などで自己表現の場があるから。ありそう。
なかなか出歩きができない人たち、地方で孤立している人たちが、今電子ネットに活路を求めてますから、確かにかなり重要だと思います。また、「団地妻ユキ」さんや林道義さんや大塚いわおさんなどの反フェミ系HPを見ていると、負けてるな、と思います。
「あんた、やったら」と言われそうなことを承知で言うのですが、どなたか、プロ・フェミのHPを運営してもらえませんか?
協力グループは、会員から募れると思います。

「科研費申請講座」の報告

日本女性学会主催第1回「文部科学省科学研究費申請講座」は、2002年10月10日(木)午後6時から8時まで、お茶の水女子大学生活科学部大会議室で開催された。
まず、上野千鶴子さんから科研費申請講座実施の意図について説明があり、次にこの間、学術会議で「ジェンダー」枠の設置に努力されてきた、原ひろ子さん(放送大学教授、学術会議「ジェンダー問題の多角的検討」特別委員会幹事)から、科学研究費分科細目「ジェンダー」の位置付けの変更について」の経緯の説明があった。
国信潤子さんは、基盤研究(C)の申請の際に作成した申請書を配布し、その際の経験を報告した。その他参考までに、毎年10月に刊行される『文部科学省科学研究費補助金採択課題・公募審査要覧』の平成13年度版(ぎょうせい編・刊)の「ジェンダー」の採択課題と金額一覧を配布し、申請書類一式と申請書作成参考資料(お茶大作成)を回覧した。なお、分科細目「ジェンダー」の設置については、『日本女性学会学会ニュース』第84号(2000年11月号)、2002年4月から「時限付き」がとれたことの意味は、『日本女性学会学会ニュース』第91号(2002年8月号)に簡単に掲載されているので、参照されたい。

ここでは、議論のポイントのみを紹介する。
第1に懸案の非常勤職が研究代表者で申請出来ない事については、研究機関ごと(多くは大学ごと)に取りまとめて申請するので、非常勤職までは事務的な面倒をみることができないことが大きな理由としてあげられている。その場合、例えば日本女性学会などの学会が研究機関としての事務を担うことで、認められる可能性があるかを検討することが提案された。だが当面は、研究代表者になれるが研究時間が無い人と、非常勤で良い研究テーマを提起し研究できる時間がある人との組み合わせを可能にするような、研究組織構成の情報交換コーディネートを学会がすることはすぐにできるのではないかという意見が提起された。また、非常勤職と言うと若手研究者を想起するが、定年退職後の元教授(非常勤または無職にある)の科研費申請も認められてしかるべきという意見が「向老学会」の方々から提起された。老年期の研究は、当事者性を重視することが大切と考えれば納得のいく意見であった。
第2に申請が認可されなかった理由の情報開示を求める意見があった。この件に関係して、科研費申請講座全体に関わる方針として、学術振興会が情報開示することは難しいと思われるので、申請して落ちた人、審査員をした経験がある人、認可された人などが協同して、公開検討会、個別の研究テーマの申請書作成相談などにのる会などの企画を学会が企画することも提案された。その他、学会からの審査員の推薦も含め、検討する課題があることが話し合われた。参加者は全員で20名ほどであったが、九州、新潟、広島、名古屋など遠方からの方が多かった。日本女性学会のこうした試みが、日本の学術世界のあり方を変革することにつながるためにも、今後実施可能な協力体制を模索していきたい。

(文責 舘かおる)

全英女性学ネットワーク大会 及び
女性史ネットワーク大会 参加報告

井上 輝子

英国の2大女性学関連学会である、全英女性学ネットワークおよび女性史ネットワークは、毎年一度、研究集会を開催し、研究成果の発表ならびに会員の相互交流を図っている。私は2001年度に、両ネットワークの大会に参加する機会をもった。どちらも基盤は英国に置かれているものの、参加者は英国人に限られない国際色豊かな学会であり、学会運営にもさまざまな工夫が試みられているので、紹介したい。

1)全英女性学ネットワーク

全英女性学ネットワークは、1988年に設立された全国学会であり、現在約600名の会員を擁する、英国における学際的な女性学の唯一の組織である。毎年一度の大会を開催するほか、ニュースレターの発行、大会記録の出版などを行なっている。
2001年度の大会は、7月12−14日にイギリス中央部の小都市チェルトナムにある、チェルトナム・グロチェスター高等師範学校で開催された。全体テーマは、「ジェンダーと文化—レジャー・消費・女性の日常生活」で、4本のパネル(全体会)と5分科会に分かれてのセミナー・セッションおよび、フェミニスト・ビデオ制作者による作品の上映などから構成され、学会開催中の食事はすべてヴェジタリアン・メニューであった。
最初のパネル「文化的消費」では、アン・クローニンが「買い物嗜癖?−ジェンダー・エイジェンシー・消費文化再考」と題して、最近の嗜癖研究が、嗜癖の原因をアルコールやドラッグそのものから、個人の自制心ないし作用にあると考えるようになってきたことを紹介した後、消費文化および嗜癖の型を理解するには、ジェンダーを抜きにできないことを指摘した。続いてカナダのジル・ルクレアが、19世紀には女性は、身体を隠さねばいけないとされたのに、今では裸のアスリートがカレンダーを飾る時代になったが、女性の身体の公開性をめぐるこの変化を、解放と呼ぶべきなのか、商品化と呼ぶべきなのか、という問題提起をした。
第2パネル「スポーツ文化」では、従来男性スポーツとされてきたラグビー等への女性の参加促進運動の当事者による報告、女性や少女たちのスポーツ参加が増加しているにもかかわらず、政策決定過程は男性が握っているとの実証的報告、またソルトレイクへのオリンピック招致をめぐるジェンダー・ポリティックスが報告された。
第3パネル「パフォーマンス文化」は、アイルランドの女性学の第一人者アイベ・スミスによる、自伝的語りであった。フェミニストの活動家から出発し、女性学研究者として大学に職を得たアイベは、20年後にはエスタブリッシュメントの一員となっていた。だが、大学の中での女性学および自分の位置は決して安定したものではないし、社会の性差別は少しも解消していない。自分の無力を恥じ、焦燥にかられる一方で、母の世代の生き方に比して、活動範囲や選択の幅が広がった自分たちの世代の戦いが、娘の世代につながっていくことに、未来への希望を見出したい。大略こうした内容を1時間にわたって切々と語ったアイベの話は、とても感動的で、身につまされるものであった。
「暴力の文化」と題する第4パネルの最初の報告者は、ジル・ラッドフォード。英国では90年代にドメスティック・バイオレンスが法的に禁止され、救済・防止の担当者として警察がかかわるようになった。ところが対策が定着する過程で、「ドメスティック・バイオレンス」の定義が換骨奪胎され、ジェンダー中立的な定義にすりかえられていき、女性が加害者として訴えられる例が続出したという。この過程を丹念に追跡し、ドメスティック・バイオレンスの構造的把握と、女性による定義権の奪回の必要性を訴えたのがジルの報告。ほかに、ダイアナ・レナードによる、中学生の性的暴力被害経験の調査報告、暴力に伴う痛みや恐怖の感情が、社会のジェンダー文化と不可分であることを指摘したサラ・アームドの報告があった。
パネルのほかに、A消費者文化 B身体文化 C メディアと視覚文化 D著述文化・パフォーマンス文化 Eレジャーとスポーツ文化のセミナーがあり、英国のみならず、アメリカ、スーダン、ハンガリー、ベルギー、トルコ、マルタ、メキシコ、インド、オーストラリア、日本など25国からの80件近い研究報告がなされた。報告者の学問的背景は、社会学、歴史学、政治学、文化人類学、文学、文化研究、メディア研究、余暇研究、スポーツ研究、教育学など多様な専門分野からなっており、女性学の国際性と学際性を裏付けるものであったが、内容については、紙数の関係で省略する。

2)女性史ネットワーク

女性史ネットワークは1991年創立された全国学会で、総会時の報告によれば現在会員数335。10周年に当たる2001年は、9月8−9日にロンドン・ギルドホール大学で大会が開催された。大会テーマは「過去を再創造するー女性・ジェンダーと歴史の書き直し」で、全体会は(1)世紀の転換点における国際的事業としての女性史 (2)女性図書館—女性の生活・人生のホーム (3)英国の女性史、過去・現在・未来—ジェンダー化された境界?から成る3本の基調報告。ほかに①アクティヴィズム ②ナショナル・ヒストリー (3)口述の歴史と自分史語り (4)領域の分離を超えて (5)理論と方法 (6)人種/民族 ⑦史料 の7つの分科会があった。ほかに、若い女性史研究者に奨励金を授与するクレア・エヴァンズ記念賞の贈呈式、女性アーティストによる織物作品の展示、女性史関連書籍の古本市や新刊本の展示販売などがあった。
この学会は非常に活気に溢れており、総会出席率も高く、各地方部会の活動状況などの報告から、英国における女性史研究の裾野の広さを想像させるに充分であった。この大会は本来、ギルドホール大学内にあったフォーセット文庫を拡充・発展させた、国立女性図書館の開館記念を兼ねて開催される予定であったが、図書館の開館が遅れた(2002年2月4日開館)ため、記念行事は省略されたものの、女性図書館開館を意識した企画がかなりあり、女性図書館のあるべき方向が、発表・議論された。
基調報告においても個人発表においても、女性/ジェンダー史研究の必要性の確認に加えて、白人中心主義、英国中心主義への批判と反省が繰り返しなされたことが印象に残った。特にアジアやアフリカの女性の歴史研究が少ないこと、史料収集そのものが英国人中心に偏っており、旧植民地出身女性たちの歴史を記録した史料がきわめて限られていることなどが指摘された。
この大会でも世界各地からの参加者による約80本の報告があったが、私が一番印象付けられたのは、女性炭鉱労働者の国際比較研究であった。ペンシルバニア大学をベースにした共同研究で、今回は、夕張炭鉱の女性労働者調査を発表した吉田加代子さん、ならびにスウェーデンからの研究報告があった。両国とも 1910年代頃から炭鉱で女性も働くようになったが、炭鉱は男性社会で、家父長制的家族関係が支配的で、女性は炭鉱で働いても半人前扱いをされがちだった。20年代には女性の鉱内労働は禁止されるが、戦争や男性炭鉱労働者組合との関係の中で、炭鉱社会における女性の位置づけは変化する。討論の過程で、日本の炭鉱では子沢山が多かったのに対し、スウェーデンでは子どもの数はそんなに多くはなく、英国の女性炭鉱労働者にとって妊娠はタブーであったなど、炭鉱における妊娠・出産文化のちがいについても言及され、興味深かった。

英国における女性学関連の2大学会の大会に参加したわけだが、どちらも参加者数は多く、しかも多様性に富んでいた。海外からの参加者が多いという条件もあるとはいえ、英国における女性学・女性史研究の層の厚さを感じさせた。特に女性史ネットワークは地方部会の活動が全体を活性化する原動力となっているようだった。また女性学ネットワークにおけるスポーツ教育関係者や行政担当者、女性史ネットワークにおける図書館職員など、いわゆる研究者以外の実践的フェミニストたちが、積極的な役割を果たしていることも印象に残った。日本でもこうした連携がとれるとよいのだが。

2003年度日本女性学会学会誌『女性学』11号
投稿原稿募集

 

1. 応募資格
日本女性学会の会員に限る
2. 応募原稿
論文、研究ノート、情報及び書評で未発表のものに限る。論文は主題について論証が十分なされている点に、研究ノートは主題の提起に独創性があり、今後の展開が期待される点に評価の価値がおかれる。また、情報とは、国内外の女性学をめぐる動向を意味する。

紙数制限(註・参考文献リストを含む):
論文(400字×50枚以内)
研究ノート(同20枚以内)
情報、書評(同5〜10枚程度)
3. 応募原稿はワープロ・パソコンを使い、A4用紙に 40字× 30行で印刷する。
使用言語は日本語とする。
原稿は縦書き、横書きのどちらでもよい。
学術論文であるが、専門分野の異なる人にも理解できる表現をこころがける。
図および表は別紙に書き、写真は一枚ずつ別紙に貼る。通し番号をつけ、本文原稿の欄外に挿入箇所を指定する。
4. 投稿原稿は、コメンテーターによる査読がなされ、最終的な採否の決定は編集委員会の責任となる。
5. 掲載が決定した場合
(1)最終稿(2)英文による表題(3)論文の場合は、300words程度の英文要約を、フロッピーディスクで提出する(MS-DOSに変換し、使用機種、ソフトを明記する。)
編集委員会に送るもの(各7部)

  • 執筆者情報(A4一枚におさめる)氏名住所・電話fax番号(引越・海外移住の場合は新住所と移転日を明記)あれば電子メール・論文タイトル・関心領域
  • 論文・研究ノート・書評など原稿をホチキスでとめたもの(本文に氏名を表記しない)。

送付先 日本女性学会事務局
締め切り 2003年2月20日(厳守)
書式の詳細は以下に記載。

執  筆  要  領

見出し/小見出し
原稿の最初に見だし/小見出しを掲げる

【例】
はじめに
一 読者研究と投書・投稿欄分析
二 「少女読者共同体」の規模と成員の年齢構成
三 読者ネットワークとしての「少女共同体」
(1) 拡大する少女たちの「交際」圏
(2) 活発化する読者ネットワーキング
四 「他者」の定義と共同体の境界
(1) 「他者」の摘発
(2) 読者と愛読者の境界
(3) 「清い少女」の共同体
五 「少女共同体」の囲い込み
(1) 共同体に対する監視の強化と「誌上交際」の成立
(2) 封じ込まれる「少女的言説空間」
終わりに

文中の引用
書名は『 』、論文名、文中の引用には「 」を用いる。邦訳がないものは、執筆者訳による著者名、書名に続けて、( )を用いて原著情報を簡略に記す。
註は、本文のその箇所に(1)(2)の通し番号をつけ、内容は本文の後(文献目録の前)に一括して記載する。読者が読みやすい文章を心掛けるためにも、本文の流れの中に含めることができるものはできるだけ本文中に組み込み、省けるものは省く。
引用文献の出典は、註を使って記載してもよい。本文中に記載する場合は、括弧内に著者名、出版年(発行年、刊行年)(必要であれば該当頁)を記し、詳細は文献目録に記載する。
参考文献目録
文献目録は、論文の末尾にまとめて記載する。

  1. 参考文献目録は、本文、註の後に一括して記載する。 (本文、註、参考文献目録の順)
  2. 著者名はABC順に並べる。(和書、外国語書混合とする。)
  3. 同一著者の文献は、発表年度の古いものから順に並べる。
  4. 記載項目
    著著(編薯)の場合:著者(編著者)名、書名、(出版社名、出版年)頁。
    共著の場合:論文著者名、論文名、編者名、書名、出版社名、出版年、頁。
    雑誌の場合:論文著者名、論文名、雑誌名、巻、号、(出版社名)出版年、頁。
    邦訳のある場合は、邦訳者名、邦訳題名、(頁)出版地、出版社名、出版年を原書の内容の記載後に続けて書く。
  5. 日本語の場合:論文には「  」を、単行本、雑誌名 には『  』をつける。
    英語などの場合:論文には” “をつけ、単行本、雑誌名はイタリックにするかアンダーラインを引く。

    【例】
    Firestone, Shulamith, The Dialectic of Sex, New York: Bantam Books,1971(林弘子訳 『性の弁証法』、評論社、一九七二年)
    Mitchelle, Juliet, “Women: The Longest Revolution,” New Left Review,No.40 (November-December, 1966), pp. 11-37.
    井上輝子『女性学への招待』、有斐閣、一九九二年。
    亀田温子「平等をめぐる世界の動き・日本の動き」
    西村絢子編著『女性学セミナー』、東京教科書出版、一九九一年、二二四〜二四八頁。

■会員からの情報

 

著書

金井淑子・細谷実編
『身体のエシックス/ポリティクス—倫理学とフェミニズムの交叉』 ナカニシヤ出版

公開シンポジウムのご案内

2002年12月24日(火)13時〜17時
日本学術会議大講堂

公開シンポ「学術の世界におけるセクシュアル・ハラスメント—加害と被害—」

主催 日本学術会議
「ジェンダー問題の多角的検討」特別委員会
司会 原ひろ子(放送大学)
パネリスト
博士号取得者の被害実態   加藤万里子(慶應大学)
大学の法的責任   松本 克己(立命館大学)
キャンパス・セクシュアル・ハラスメントの解決に向けて
戒能民江(お茶の水女子大学)
文科省担当者

■銀行口座変更のお知らせ

会計事務の手続き上、今後一般の年会費納入以外の全ての振込先を以下の銀行口座へ変更することになりました。今後、海外から学会費を納入していただく場合や、学会誌のバックナンバー等の追加購入代金をお支払い頂く場合も、この銀行・口座番号へお願いすることになります。これまで振込先となっていた東京東信用金庫は、これに伴い閉鎖いたしますので、今後はお間違えの無いよう、以下の口座へお願い申しあげます。
口座は下記に開設しました。よろしくお願いします。
口座名儀:日本女性学会事務局 北仲千里
銀行支店:UFJ銀行 金山支店
口座番号:3539270

来年度大会案内

来年度の大会の日程と会場が以下のように決まりました。
日程:2003年6月7日(土)・8日(日)
会場:十文字学園女子大学(埼玉県新座市菅沢2−1−28:新宿から40分ほどで着きます。)
シンポジウムのテーマは<「男女共同参画社会」をめぐる論点と展望>です。
8日は個人研究発表、ワークショップ、の予定です。
※個人研究発表、ワークショップの申し込みはニューズレター担当の牟田、伊田まで、2月末日までにメールかファックスでお願いします。タイトルおよび発表の概要を200字程度でお送り下さい。

研究会のお知らせ

「男女共同参画社会」論点の整理
12月14日(土) 13:00−16:30
お茶の水女子大学にて

次号ニューズレターの発行は2月です。

ご意見や「会員からの情報」など記載希望がありましたら、
1月10日までに次号担当の牟田までお送り下さい。