NewsLetter 第82号 2000年5月発行

日本女性学会NewsLetter

(*会員に送付しているペーパー版の「学会ニュース」とは内容が一部異なります)

女性学会ニュース第82号[PDF] 2000年5月発行


学会ニュース
日本女性学会 第82号 2000年5月

2000年春季大会

6月17日(土)・6月18日(日)
東京大学本郷キャンパス(東京都文京区7-3-1)
法文1号館・法文2号館
問い合わせ先 上野研究室

−プログラム−

第1日目
13:30〜16:30 シンポジウム 法文2号館3大教室
17:00〜18:00 総  会
18:30〜20:30 懇  親  会(「山猫軒」にて、会費3,000円)
第2日目
10:00〜12:00 個人研究発表 法文1号館
13:00〜15:00 ワークショップ

第1日目:6月17日(土) 13:30〜16:30

シンポジウム 「フェミニズムと政治権力」

パネリスト/コーディネーター 大沢 真理 (東京大学社会科学研究所)
パネリスト 福島 瑞穂 (参議院議員)
大西 珠枝 (総理府男女共同参画室室長)
森屋 裕子 (スペース・フィフティ代表、
「女性を議会へバックアップスクール」主宰)
討論者 舘 かおる (お茶の水女子大学ジェンダー研究所)
進藤久美子 (東洋英和女学院大学・社会科学部)

1999年6月に保守連立政権のもとで男女共同参画社会基本法が制定され、日本でのフェミニズムの制度化も新しい段階に入った。とはいえ現状は、 UNDP(国連開発計画)の1998年人間開発報告書のGEM(ジェンダー・エンパワーメント測定)で第38位という位置に象徴されるように、「先進国」の一員として特異に男女格差が大きい。
GEMの構成要素のうち国会議員に占める女性の割合と行政職・管理職に占める女性の割合をとりだすと(他の要素は、女性の稼働所得割合、および専門職・技術職に占める女性の割合)、日本はGEM順位上位50国のなかで最低となり、政策・方針決定過程への女性の参画がとりわけ低いことが明らかである。もちろん経済面の格差も小さいわけではない。厳しい不況と雇用不安のなかで、99年の女性労働力率は49.6%と10年ぶりに50%を割った。失業率は改善の兆しを見せていないから、失業ののち求職を断念する女性が多いために労働力率が低下したのである。
このように男女格差が依然として大きいにもかかわらず、フェミニズムの一定の制度化にたいして保守派はいらだちを隠さない。改憲派やいわゆる自由主義史観派は、フェミニストを家族の破壊者と見立てて悪罵の声を高めている。そうした攻撃にもかかわらず、日本の女性は政策・方針決定過程への参画を進めることができるだろうか。保守派が狙う憲法改正が10年以内の日程に上ったといわれる現在、政策・方針決定過程への女性の参画は、日本の政治と社会のあり方にどのような影響を与えることができるのか。それともフェミニズムは、日本の軍事大国化、基本的人権の制限の方向にも参画するのだろうか。
本シンポジウムでは、近年、それぞれ審議会委員、官僚、政治家、市民活動家などの立場で政策・方針決定過程への女性の参画にコミットしてきたパネリストを迎え、フェミニズムと政治権力についての見解を聞く。ついで、日本の現状を歴史的にも国際的にも相対化するためにディスカッサントからコメントを受ける。 (大沢 真理)

第2日目:6月18日(日) 10:00〜12:00

個 人 研 究 発 表 要 旨

◇旧師範閥問題とジェンダー
木 村 松 子
師範閥は全国各地で問題とされていたが、戦後の教員養成改革にも拘わらず、今日においても特定の県に強力な組織として存在している。旧師範閥は、戦前の特性論に基づく男女別教員養成の伝統を持ち、今日まで、女性教員は加入させないという方針をとってきた。本報告では、そのことが学校内教員組織のジェンダーによる配分・序列化を引き起こしていること、そして戦後の教育行政も日教組運動もそれを黙認し支えてきたことを明らかにする。

◇女性の市民権からみる「介護の社会化」
佐 川 成 美
労働市場と国家の関係にのみ重点のおかれていた福祉政策は、多くのフェミニストの提唱するように、新しい視点としての“家族”を加えた三点から考察する必要がある。介護という行為で問われているものは、家族に要介護の高齢者の有るなしにかかわらず、個々人が自律できるか否かという問題である。
今の社会的な背景の中で、介護を私的領域から公的領域へ移行しただけで「介護の社会化」は達成できるのであろうか。公・私の境界線はどこにあるのか。女性が完全な市民権を確保できる「介護の社会化」を公・私の統合という側面から考察したい。

◇アメリカのフェミニズム批評における
ジェネレーション・ギャップ
三 宅 あつ子
80年代以降、現在のアメリカにおけるフェミニズム文学批評界は、70年代に書かれたすでに古典となりつつあるような、大御所の著書の経験主義などへの批判から、エスニシティ、階級、クィア理論などの要素を取り込んで多様化してゆき、混沌とした状況である。若い学者たちと70年代フェミニスト批評家の論争を分析し、フェミニズム批評というものの本質を考察し、一枚岩的な批評理論を確立するのは、困難であるのか、その未来も予測してみたい。

◇クイアー言語学
阿 部 ひで子ノーネス
「言語とジェンダー」の分野に「クイアー言語学」が注目を集め始めた。今まで、隔年に行われていたカリフォルニア大学バークレーでの「言語とジェンダー」の学会が今年名前(IGALA)と組織を変えて初めての学会がスタンフォード大学で行われる。テーマは、まさに「クイアー言語学」。その学会で得た歴史的な背景ならびにどのような発表があったかをまとめながら、今の「クイアー言語学」の状況、これからの展望について考える。また、私が発表したものも含めながら、英語圏での研究と英語圏以外での研究(特に日本語圏での研究)とには、どんな「差異」があって、それはどこから来ているかなどを探りながら、学問としての「クイアー言語学」について議論していきたい。

◇表現の自由とジェンダー・ハラスメント
綾 部 裕 子
昨年8月に長崎県で行われた講演会において、女性蔑視・ジェンダー・ハラスメント発言が行われたと新聞等で報じられ、長崎県の女性団体および講演会出席者からの苦情が大学に寄せられた。大学当局はこの件に関して「思想・信条の自由、表現の自由の問題である」としたが、講演者が教育を担当している機関は講演者に対して非難決議を行い、それを不服とする講演者は提案者を名誉毀損で刑事告訴した。 この件に関して経過を報告するとともに、表現の自由とジェンダー・ハラスメントについて考察する。

◇大学におけるセクシュアル・ハラスメント認識
合 場 敬 子
この発表は、人々がどのような行為をセクシュアル・ハラスメントであると認識するか(以下セクシュアル・ハラスメント認識と略す)という問題を考察する。従来から、セクシュアル・ハラスメント認識におけるジェンダー格差が推察されていたが、その格差を、計量的に、日本社会のデータで検証した研究はほとんどない。この研究では、日本の大学という組織の中で、セクシュアル・ハラスメント認識にジェンダー格差が存在するか否かを統計的手法を用いて検証した。

◇ドイツの女性・ジェンダー研究
寺 崎 あき子
今夏、ハノバー・エキスポの一環として開催される「国際女性大学」は、ドイツで女性学研究を進めてきた女性たちにとって画期的出来事といえよう。ほとんどが州立であるドイツの総合大学はすべて共学で、その中で女性学研究を進めてきた教員、学生たちは女子大の存在する英語圏、日本などとは違った困難と闘わなければならなかった。またそれゆえにドイツ独自の女性学普及・確立の方法も産みだした。
ドイツにおける女性・ジェンダー研究の発展動向を1.準備期(70年代前半)、2.創始期(1976—1982年)、3.普及・充実期(1982—88年)、4.専門化期(1989年以降)と区分して概観したいと思っている。

◇シンガポールの人口政策:
セクシュアリティーへの国家介入
大 岩 寿美子
1965年の独立以来、現在に至るまでシンガポールの一党支配を果たしてきた人民行動党の人口政策は、子供二人までの核家族推進から、労働力不足と高齢化社会の出現を前にして大きく軌道修正されることになった。市民を学歴、収入に基づいて差別する人口政策の根底には、確固たる遺伝子主義信奉、女性を単なる「遺伝子運搬人」(gene carrier)と見なす考えが存在する。政府の強引な人口政策の軌跡を辿り、国家の儒教的思想と国際的資本主義経済下の市民との軋轢を考察する。

◇高齢者扶養とソーシャルネットワーク
—在日韓国・朝鮮人女性高齢者の事例調査を中心に—
金恵 媛(キム ヘウォン)
高齢者がもつソーシャルネットワークは、安定した老後生活を営んでいく上で非常に重要な役割をする。とりわけ、老後生活を準備する機会に恵まれなかった多くの在日韓国・朝鮮人高齢者にとって、彼(女)らがもつネットワークが扶養形態に及ぼす影響力は多大である。本個人研究発表では、川崎地域で行われた高齢者扶養の実態調査の結果に基づき、在日韓国・朝鮮人高齢者、とくに女性高齢者がもつソーシャルネットワークを明らかにするとともに、それらが扶養形態に及ぼしている影響について考察する。

◇ある在日朝鮮人一世との対話
田 中 由布子
女性学研究を続けていると、自分が女性であることと、彼らが男性であることとの分岐点に立っていることに気づく。そしてその時、もはや自分が既存の女性らしさの姿には戻れず、さりとて既存の男性らしさへも、転化していけないことを発見する。そこで暫くちゅうちょしたのち、私はどうしたか。男の世界へ飛び込んだ。そして、その世界で泳ぐ方法を把握しようと堅く心に決めたのだ。しかし、それは男性への同化ではない。男性の視点を捉えつつ、それが織り成す学問を把握し、それを瓦解させる方法論を手にしようとしたのだ。
本報告は在日朝鮮人が把握している日本人男性像というものを学び、女性の日本人男性論を書き上げんとした第一歩である。

◇日本企業におけるセクシュアル・ハラスメント
─女性のセクシュアル・ハラスメント対応を中心に─
ジェシカ・ラム
日本では、セクハラを受けた女性の中で、「積極的な対応」より「『泣き寝入り』対応」を取る被害者が多い。被害者が「積極的な対応」を取ることを思いとどまる理由を明らかにするのが本研究の目的である。そのために、「コスト」概念を用い、「『泣き寝入り』対応」を取る被害者だけではなく、「積極的な対応」を取る被害者についても対応の仕方、対応の結果、対応する過程における障害などを明らかにすることによって、コストを払わざるをえない構造を見つけ出す。

◇日米の映画における女性兵士の肖像
佐 藤 文 香
2000年3月に、日本初の女性兵士(=婦人自衛官)映画『守ってあげたい!』が公開された。
日本版『G・Iジェーン』の到来との噂も一部にささやかれたが、その内容は大きく異なっている。本報告では、日本とアメリカの映画における女性兵士の表象がどのように変化してきたのかを明らかにし、それを手がかりに「軍事組織と/の女性」問題に対するフェミニストのアプローチの可能性を探求したい。

第2日目:11月28日 13:00〜15:00
ワ ー ク シ ョ ッ プ

◇入門女性学のアプローチとその課題
浅生 幸子 梅村智恵子 斉藤 正美 中島 美幸 山口 智美
リブ運動から30年余りを経て、大学での女性学の授業もある程度定着をみている。女性学の知の蓄積が生じる一方、そうした知の集積を現実の問題解決や学生の現実感覚につなげるにはどうしたらいいか悩むことも多い。
女性の経験から問題を析出してきた時代の積み重ねを経て、現在の入門女性学の授業は、何を基点にし、何を目的に語るといいのだろうか。また、その成績評価の方法、基準はどういったものであるべきなのだろうか。
さらに、女性運動につなげ、現状変革をめざす授業の可能性をさぐり、女性間の差異の問題をどのように授業で扱うことができるのかについても議論したい。
富山大学、愛知淑徳大学、アメリカのミシガン大学での入門女性学授業の実例を題材として報告するが、参加者のみなさんの経験や実例にも基づき、積極的な議論を行いたい。

◇「女性国際戦犯法廷」をなぜ開くのか
─戦時性暴力「不処罰」に終止符を
松 井 やより
20世紀最後の月である2000年12月に東京で日本軍性奴隷制を裁く「女性国際戦犯法廷」を開きます。被害女性の尊厳と人権の回復には真相究明、被害者への補償、責任者の処罰が必要ですが、日本ではタブーの戦犯処罰問題に挑戦します。加害国、被害 6カ国と戦時性暴力に取り組む世界の女性たちが協力して、 「慰安婦」制度が女性への犯罪であることを明らかにし、再発を防ぐことが目的です。

■研究会報告 3月20日 於:早稲田大学

テーマ:大学におけるセクシュアル・ハラスメント
全国の大学で、セクシュアル・ハラスメント防止の指針や、相談窓口、リーフレットが作られつつある。今回の研究会では、はじめに、戒能民江さんから、指針などが策定された後の大学におけるセクシュアル・ハラスメント対応策の問題点などが話された。現状では、各大学の相談窓口を教員が担うことになっていることが殆どだが、教員のセクシュアル・ハラスメントに対する認識や、被害者への対応のあり方などが十分に検討されているとは言えず、被害者が相談窓口で二次被害にあっている可能性が大きいことが指摘された。また、大学内部でおきた問題を、学内で解決することが困難な状況も見られる一方、裁判などで被害を申し立てた場合、問題が長期化し、被害者の精神的負担が大きくなるという問題が指摘された。被害者の支援をする学生や教員に対する大学内部でのバッシングなども、みられるという。
研究会では、その他、お茶の水女子大学のセクシュアル・ハラスメントを考える会から、会の取り組みと大学の対応などが報告された。筆者もその会の一員だが、会では、この研究会の後、お茶大で、「セクシュアル・ハラスメントを考える学生の集い」を開き、お茶大でのこの問題の現状を院生に聞いたアンケートの調査結果や、東北大学の院生による裁判支援の動きなどを報告しあった。
今回の研究会では、キャンパス・セクハラ全国ネット関東ブロックの田中かず子さんからも、各大学の取り組みの現状調査の報告があった。また、駿河台大学におけるセクハラ対策と問題点として秋山洋子さんから、駿河台大学のセクハラ対策委員の規定などが紹介された。研究会には、20名ほどの参加があり、会場からも各大学での取り組みの現状やその問題点が活発に話された。
(報告者:瀬山紀子)

<事務局からのお知らせ>

海外会員より銀行口座以外の入金方法に関する問い合わせがよくありました。国際為替も可能です。

国際会議のお知らせ
■第四回台湾東アジア女性フォーラム
第四回台湾東アジア女性会議が下記の要領で開催されます。
ご関心ある方は下記までお問い合わせください。

会議期日:2000年9月4日〜7日
開催場所: Chien Ta Overseas Activity Center,
Taipei 16 Chung-Shan N.Rd.Sec.4,Taipei,Taiwan
FAX:886-2-25973169  http://www.cyh.org.tw
テーマ:新世紀・新しい女性
サブテーマ 1.女性と人権、2.女性と労働、3.E-era(電子情報時代)の女性
プログラム:
9月4日(月)参加登録と開会式
9月5日(火) ワークショップ1のテーマ

1. 女性と開発:グローバライゼーション/貧困・ひとり親・高齢者/differently able(障害者)/雇用/国際結婚
2. 女性と人権:DV/女性・子どもの人身売買/移住労働者・国際結婚/地方住民の権利・先住民女性/ポルノグラフィー・性産業/レスビアン
3. 権力ある地位にいる女性と意思決定:立法機関にいる女性/政治的システムと法律

9月6日(水)  ワークショップ2のテーマ

1. 女性と教育:女性と私的空間/女性と性,性教育
2. 女性と健康:AIDS/HIV/ 生命再生産/医学とバイオテクノロジー
3. 女性と文化:メディア/宗教/芸術/先住民の文化伝承
4. 女性と環境:核エネルギーと女性/グリーン消費(環境に優しい消費)/エコロジー保全/遺伝子工学
5. ユース(若い女性)フォーラム

9月7日(木) 全体会、ワークショップ報告、閉会式、見学

参加申し込み締め切りは2000年6月15日。
参加費はUS$50、宿泊費は1名US$150(4泊11食付き)。
今後この会議に関する情報はfem-netのインターネットで周知されます。台湾側コンタクトパーソンは Ruth Kao women@mail.pet.org.tw
***日本側からの報告者(個人・組織)募集中****
上記の各テーマで英語でペーパー提出・発表可能な方は國信までご連絡ください。
希望者で会合をもち、調整します。報告担当希望申し込み締め切り:2000年5月31日(水)。
(國信 潤子)
■出産のヒューマニゼーションに関する国際会議
1985年、WHOは「お産の適性技術に関する国際会議」をブラジル北東部セアラ州のフォルタレザ市で開催しました。女性の生理的プロセスを尊重したお産のあり方を提起したこの会議は、世界の母性保健政策に大きな影響を与えました。しかし現在のブラジルは、出産の医療介入が急激に増え、帝王切開率(37%)が世界一高い国のひとつになってしまいました。このようなブラジル、セアラ州で、JICA(国際協力事業団)は「人間的なお産」をめざす「光のプロジェクト」を展開しています。2000年11月、フォルタレザで「出産のヒューマニゼーションに関する国際会議」が開催されます。

日時: 2000年11月2日(木)〜4日(土)
会場: セアラ州コンベンションセンター(フォルタレーザ市、セアラ州、ブラジル)
テ ー マ:人間的な出産の促進に光をあてる
プログラム: ※基調講演とパネルディスカッション
(主題/出産のヒューマニゼーションの定義、出産ケアの実践者、
出産の場所、出産ケアの技術、未来像)
※ポスターセッション、ビデオセッション、ワークショップ
スピーカー(予定):
Robbie Davis-Floyd 医療人類学者、アメリカ
Tanit Habanananda 産科医、タイ
堀内成子 助産学教授、日本
Richard Horton ランセット誌編集長、イギリス
Sheila Kitzinger 社会人類学者・作家・バース・エデュケイター、イギリス
Michel Odent 産科医、イギリス・フランス
LeslyPage 助産学教授、イギリス
Marsden Wagner 公衆衛生医、周産期学者、アメリカ

主 催: 「出産のヒューマニゼーションに関する国際会議」実行委員会
後 援: JICA、UNICEF、UNFPA、Alianca Luz、セアラ州保健局ほか
参加費: 日本からの参加者は、参加費100ドルの他に特別通訳料100ドルが必要。
学生は40%割引。2000年9月15日までに参加申し込みをした場合は、
参加費および特別通訳料は20%割引となります。
問い合わせ: 「出産のヒューマニゼーションに関する国際会議」実行委員会事務局
Office for International Conference on Humanization of Birthing
JICA A/C Av.Almirante Barroso 600, Fortaleza, Ceara, BRAZIL, CEP 60060-440
(Tel)55-85-488-2218 (fax)55-85-488-2217
(日本語で対応いたします。)

■書評

渡辺みえこ著『声のない部屋』
思潮社 2000年3月 2000円
1997年に、文芸評論『女のいない死の楽園供儀の身体・三島由紀夫』で第一回女性文化賞を受賞した渡辺みえこが、第五詩集『声のない部屋』を出版した。これまでは、自己に内包する様々なアイデンティティを異なる仮名を使いそして捨てることで表現してきた(表現せざるをえなかった)彼女が、『声のない部屋』で〈渡辺みえこ〉を表出した。そこで彼女は自分を押し潰してきた部屋から、そして渡辺家の暗い蔵から自己を「陽に晒し」、全人としての〈渡辺みえこ〉を取り戻す作業をする。ここに1950年代から60年代の激しい差別の時代を生き抜いた一人の〈女〉の、そして〈レズビアン〉の壮絶な姿を見るのだ。「どんな暗殺者も恐れるほどの/暗緑色の/深く優しい闇/そこが私たちの部屋だった/音になれなかった声の」。私たちはこの声を聞く必要がある。そして私たちが内で殺した「死んだ娘」を蘇らせる必要も。

(富岡明美)

 

投稿日: 2000年5月1日 カテゴリー: NewsLetter

WOMEN’S STUDIES Vol.7 (1999)

Journal of Women’s Studies Association of Japan

WOMEN’S STUDIES Vol.7 (1999)

Edited by the Editorial Committee of the Women’s Studies Association of Japan

CONTENTS

Special Issue: Women’s Expression in the 20th Century
Modernization and Women’s Expression:
Japanese Women’s Literature in the Twentieth Century
MIZUTA Noriko
The Way Women Artists in History are Looked Back:
Reviewing the Exhibition as a Site of Production of Views on Women and Art
HAGIWARA Hiroko
“Sexual Politics” and Women’s Tanka Poems in the 20th Century AKITSU Ei
A Bridge to the 2lst Centuries:
Autobiographical Writing by Three Asian American Women Writers
KOBAYASHI Fukuko
Special Issue 2: A State of Crisis in the Employment of Women
Women’s Employment at Crisis: Amidst the Globalization and Labor Big Bang NAKANO Mami
Job Diversity and the Instability of Women’s Positions in Employment KOMATSU Makiko
The Employment of Women at a Critical Juncture TANAKA Kazuko
Articles:
The Transition of Gender Ideologies Concerning Female Japanese Self-defense Forces Officials and Female American Soldiers: The Personnel Policy Decision Process SATO Humika
Problems of the Mail-Order Bride Phenomenon: A Discussion in Terms of Gender, Ethnicity and Otherness KAWARASAKI Yasuko
Book Review:
Griselda Pollock “Vision and Difference” HORI Hikari
Document:
The Second Decade of Women’s Studies Association of Japan AKIYAMA Yoko

Published by The Women’s Studies Association of Japan, Tokyo, Japan

投稿日: 2000年3月1日 カテゴリー: Journal

8号/2000年 定価2571円(本体2381円+税)

投稿論文
中国女性における思想形成 秋山洋子
日本における女性障害者運動の展開(1)
70年代から80年代後半まで
瀬山紀子
英国におけるブラック・フェミニズムの現在 ——「ブラック」という概念をめぐる議論から見えてくるもの —— 奥村ゆかり
特集 —— 女性学と「権威」化 —— 他者を表象することをめぐって
支援関係づくりのプロセスにこだわる
—— 女性学をあらたな抑圧の道具にしないために ——
二見れい子
他者の表象はどのように可能か —— レズビアンの場合 —— 渡辺みえこ
フェミニストであることと研究者であること —— 個人史を題材に —— 内藤和美、辻智子
表現という暴力 田川建三
<特集>の最後に —— 女性学と学会誌の現在とこれから 8号編集委員会有志

WOMEN’S STUDIES Vol.6 (1998)

Journal of Women’s Studies Association of Japan

WOMEN’S STUDIES Vol.6 (1998)

Edited by the Editorial Committee of the Women’s Studies Association of Japan

CONTENTS

Special Issue: Interrogating “Gender” from the Educational Front
Gender-Free Education in Primary and Secondary Schools and Its Linkage to Women’s Studies TACHI Kaoru
The Reproduction of Gender Roles in Reading Materials: What Children Read during the Period of Building Self-Identity MORIMOTO Eriko
Getting Citizen’s Rights for “Gender”: Starting from the Diversification of Sex Education OTA Fumiko
Co-Education and Gender Equality in Japanese Schools KAYA Emiko
Advanced Curriculum in Women’s Studies: A Report from Osaka Women’s University HAGIWARA Hiroko & FUNABASHI Kuniko
Reconsidering Women’s Studies from the “Margin”: Toward the Next Stage of Japanese Women’s Studies KANAI Yoshiko
Articles:
“Women’s Suffrage” in Newspapers after the Defeat in World War II: Discourse and Gender SAITO Masami
“Women’s Characteristics” and Technological Innovations: Women’s Work and Technology in the United States during World War II SATO Chitose
Exploring Language. Gender and Power: The New Horizons of Language and Gender Studies YUKAWA Sumiyuki
Information:
Palestinian NGO in West Bank Concerned about Women’s Issues KOBAYASHI Toshiko
Book Review:
MISHIMA Yukio: The Body as a Sacrifice-Elysium of Death without “Woman” by WATANABE Mieko KITADA Sachie

Published by The Women’s Studies Association of Japan, Tokyo, Japan

投稿日: 1999年3月1日 カテゴリー: Journal

7号/1999年 定価2571円(本体2381円+税)

特集1 20世紀の女性表現
近代化と女性表現の軌跡 水田宗子
女性アーティストのふり返られ方 萩原弘子
〈性の政治〉と20世紀女性短歌 阿木津英
20—21世紀を繋ぐ女性表現 小林富久子
特集2 女性雇用の危機
危機にたつ女性の雇用 中野麻美
就業形態の多様化と女性の雇用不安 小松満貴子
危機を好機とするために 田中かず子
投稿論文
日米女性兵士をめぐるジェンダー・イデオロギーの変遷 佐藤文香
アジア女性メールオーダー・ブライド論考 河原崎やす子
書評
G.ポロック『視線と差異』 堀ひかり
記録
日本女性学会・第2の10年 —— その歩みと問題点 秋山洋子