2011/3/13 「ワークライフバランス」「子ども手当」はジェンダー平等社会へつづく道なのか?〜ライフスタイルに中立な社会政策を考える

2011年度プレ研究会のお知らせ

以下の内容で13日に大正大学にて開催予定の大会シンポジウム、プレ研究会は地震の影響で中止となりました。

 

3月13日(日) 13:00-15:00
大正大学 1号館〔正門を入ってすぐの右手の建物〕2階 大会議室〔階段またはエレベータの左手〕
(東京都豊島区西巣鴨3-20-1)
■都営地下鉄三田線・・・・西巣鴨駅下車  徒歩2分
■JR埼京線・・・・板橋駅東口下車  徒歩10分
■都電荒川線・・・新庚申塚駅又は庚申塚駅下車  徒歩7分
詳しいアクセスは、http://www.tais.ac.jp/other/access_map/access_map.htmlをご覧ください。

大会報告と第16期幹事自己紹介

大会報告

去る6月19日(土)・20日(日)、大阪ドーンセンターにて2010年度日本女性学会大会が開催されました。19日に行われた大会シンポジウム「社会を動かす女性学」では、この30年間に女性学が女性差別と闘う学問としてどのような成果を生みだしてきたのかに関連して、4人の発題者から問題提起がありました。江原由美子さんが女性学の歩みをふりかえり、内藤和美さんから、高等教育における女性学や女性・男女共同参画センターの事業の現時点での成果と課題について報告がありました。赤羽佳代子さんからは、女性学と運動とが協働を強めるための提言があり、荒木菜穂さんからは、女性同士が「つながる」状況を取り戻すための新たなコミュニケーションやフェミニズムの方法論の必要性が指摘されました。
19日には総会もあり、15期幹事会による活動報告および16期の活動方針・活動計画の提案が行われ、活発な議論を経て承認されました。その後に行われた懇親会も盛況で、参加者間の交流を大いにはかることができました。
20日は、午前に4分科会で計17件の報告(1報告は都合により取消)が行われ、充実した研究交流の場となりました。午後はパネル報告1件とワークショップ4件が開催され、狭義の研究の枠内にとどまらない、実践や運動、生活の諸相と結び付いた、多様な事象が取り上げられていました。興味深い内容のものが多いためか、同時開催されている複数の分科会やワークショップを、分刻みで回って聴いている参加者も少なくありませんでした。来年の大会もまた盛会になるよう、16期幹事会一同力を合わせて、準備を進めていくつもりです。

(文責:海妻径子)

 


幹事自己紹介と抱負

海妻径子

男性史。非正規労働問題にも発言しています
様々な学会でジェンダーについての分科会がもうけられ、「ジェンダー」を学会名称に冠するところも出てきている現在、日本女性学会の存在意義が改めて問われています。存在意義のひとつは、アカデミズムの枠を超え社会的発信を行うことにあるのではないかと思いますが、私はその発信の環境整備を試みたいと考えています

(代表幹事)
青山薫

社会学・性労働/移住労働研究
2期目に入ってやっと勝手がわかってきました。引き続きのニュースレターに加え、今期は代表代行も担当します。「フィールドと理論と方法論の相互行為」を自分に言い聞かせて仕事し(半分くらい挫折し)ていますが、学会でも、他の運動との関係を大切にしつつ活動したいと思います。
秋山洋子

中国の文学・女性学
1990年代はじめに幹事になって以来、ほぼ20年、断続的に幹事会にかかわってきました。さいわい、念願だった幹事の世代交代も順調に進み、新鮮な顔ぶれがそろった今期幹事会、最後のご奉公と思ってつとめます。編集委員としては、これまでの流れを整理して問題点を見直し、きちんと引継ぎができるようにしたいと思っています。
荒木菜穂

ジェンダーと社会意識
第16期委嘱幹事メールニュース担当をさせていただくことになりました。普段は日本の女性学やフェミニズムの大衆的な受容に関心を持っています。性の政治について、立場や生き方の異なる様々な方が、時には対立しながらも、分断ではなく、一緒に考え、納得、妥協できる場の提供のお手伝いを、微力ながらさせていただけたらと思います。活動を通じ、皆様とお話を交わし、学ばせていただけることを楽しみにしております。よろしくお願い申し上げます。
伊藤淑子

アメリカ文化・文学、フェミニズム批評
編集を担当させていただきます。思い返せば、進学や仕事、家族との関係、さまざまな場面で「女性学」の力をもらってきました。現代社会で女性であることを認めて生きるということは、どのようなリアリティを引き受けることなのか、幅広い視点で考えていきたいと思います。
北仲千里

ジェンダーの社会学・ハラスメント問題研究
会員の皆様ひとりひとりが、それぞれ面白いことをどんどん考え、話し、それを日本女性学会という組織を媒介にして、皆とやりとりしてみよう!という気持ちになって参加していただいてこそ、学会の存在意義があるのだと思います。何か、そのお役にたつようなことをしたいな、と考えています。

(庶務担当幹事)
清末愛砂

ジェンダー法学・パレスチナ地域研究
15期に続いて、16期の幹事を務めさせていただくことになりました。今期は、大会会計と選挙管理委員会を担当させていただきます。日本女性学会は私が初めて入会した学会です。早いもので、13年近く経過しました。私が大変強いアイデンティティを感じている学会です。足元で起きている出来事とパレスチナの女性たちの身に起きている出来事をつなぐものを模索しながら日々を送っています
渋谷典子

NPO活動・労働法・評価
日本女性学会の庶務から会計担当へ!第16期幹事会では、新たな仕事に向き合うことになりました。日ごろは、NPO法人の代表理事として法人全体の動きに責任をもっているため、ついつい…学会のマネジメントに気持ちが向いてしまいます。「会員への説明責任は?」「見積もりを何社からとったら?」…と、幹事会では、的はずれな発言もしています。女性学の視点をもって組織をつくる…現在進行形で見つめつつ、2年間を過ごしたいと思っています。
千田有紀

社会学・ジェンダー理論
研究会と学術会議を担当させていただく千田有紀です。政権交代が起こり、またねじれ国会が成立し、先行きが見えない昨今ですが、そのなかでジェンダーの問題をどのように考えればいいのか、またどのように進んでいけばいいのか、みなさんと考えていきたいと思います。宜しくお願いします
高松香奈

国際協力学・ジェンダーと開発
第16期幹事会で、編集委員をさせていただくことになりました。これまで不真面目な会員でしたが、これを機会に更正し(!?)少しでも日本女性学会に貢献できるよう務めてまいります。研究ではジェンダー、政策一貫性の観点から国際協力・開発援助にアプローチをしています。学会での活動を通し、あらゆる研究分野の方々と交流を深め、興味関心をひろげていきたいと思っています。どうぞ宜しくお願いいたします。
内藤和美

(1)女性関連施設職員研究、(2)女性学・ジェンダー研究に係る学位論文の分析。大学では、初年次教育と、大学評価関係の仕事を専らとしています
会員と社会にとっての日本女性学会の存在意義をより高められるよう、16期チームの一員として非力を注ぎたいと思います。今期は、渋谷幹事とともに会計を担当します。正確な出納管理は最低限のこととして、歴代の会計担当幹事がそれぞれに努力されたように、財源がより盤石に確保されるよう、また、より効果的な支出が為されるよう知恵を絞れたらと思っています
西倉実季

社会学・ライフストーリー研究
ニュースレターを担当させていただきます。大学院生のときに外見の美に関する研究をスタートさせるにあたって、「私」の切実な問題関心からはじめる女性学の精神と先行業績にどれだけ後押ししてもらったかわかりません。同世代とつながりつつ、違う世代に学びつつ、微力ながら貢献できればと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
堀江有里

社会学、レズビアン・スタディーズ、フェミニスト神学
初めての幹事です(研究会担当)。会員として参加してきてわからなかったこと、疑問に思ったこと率直にうかがいながら解明しつつ歩んでいければと思っています。そして、本来「女性学」がもっている(はずの)批判的対話の場が可能になるように、かなりのビビリでヘタレですが少しでも貢献したいと思っています。普段はキリスト教のなかでの性的少数者の相談業務に携わりながら、性差別問題、日本軍「慰安婦」問題にも取り組んでいます。
福嶋由里子

女性に対する暴力、移住と女性、家族と法
今期から幹事会に入り、庶務を担当させていただきます。これまで、主に、女性に対する暴力、特に、親密な関係の中で生じる暴力について、いろんな場所で、いろんな角度から取り組んできました。初めてのことばかりですが、この学会の多様性、躍動性を次世代に繋ぐべく、微力ながら貢献できればと思います。どうぞ、よろしくお願いいたします。
吉田あけみ

家族社会学
女性の人権向上の一助となるよう、16期幹事会の一員としてがんばりたいと思います。HPを担当します。業者さんとお近くであるという地の利を活かして、HPの充実がはかれればと思っています。会員歴は長いのですが、これまでは充分な活動をしてきませんでした。今後は幹事会の一員になりましたことを機会に、積極的に学会の活動に参画していきたいと考えています。どうぞよろしくお願いいたします。

「第3回次世代グローバルワークショップ」報告者・2次募集のお知らせ

京都大学GCOEプログラム「親密圏と公共圏の再編成をめざすアジア拠点」では、去年に行われた第1回・2回に引き続き、京都大学と海外の次世代研究者同士によるワークショップを開催します。(日程:2010年12月11日・12日)
今回は、第2募集として、日本国内の他機関・他大学に所属される若手研究者からのご応募を受け付けます。
本ワークショップで報告を希望する若手研究者の方は、ぜひこの機会に奮ってご応募下さい。
また、本プログラムに関心をお持ちの若手研究者の方に、本ワークショップでの報告者募集について周知して頂ければ幸いです。
(応募要項は添付のアプリケーション・ガイドラインをご覧下さい。また、本文下部にも掲載いたしております。)

京都大学GCOEプログラム「親密圏と公共圏の再編成をめざすアジア拠点」
問い合わせ先:担当:GCOE研究員・ライカイ

添付:アプリケーションガイドライン←クリックでダウンロード

APPLICATION GUIDELINE (For applicants within Japan: the second-round call only for applicants from outside Kyoto Univ.)

The 3rd Next-Generation Global Workshop Migration:Global Reconstruction of Intimate and Public Spheres

Overview of the Next-Generation Global Workshop

The purpose of the Next-Generation Global workshop is to provide scholars with an opportunity at an early point in their careers to give presentations, exchange opinions with their peers from various parts of the world, and learn how to organize an international academic workshop. We plan to hold the workshop annually for five years, and are currently approaching the third event.
This year, we aim to focus on Migration as the main theme as this has been a contested concept recently in social and human sciences. Aside from traditional notions of labor migration, the recent migration phenomena includes migration for reproductive work such as caring and domestic work to strengthen and maintain the welfare functions of family, involving household workers and marriage migrants. For the sending countries, the mainstreaming of policies encouraging emigration has been taken up within their general economic policy. As a result, the formation of transnational families in the feminization of migration has become apparent as a pressing issue in the last decade. From the viewpoint of migrants as agents, the creation of the transnational family as a survival technique has become a more conscious choice in order to avert poverty risks.
The justification of migration at both production and reproduction levels in the process of the globalization of the world economy has led to restructuring of welfare under demographic changes. There have been many micro-level transformations in the migration landscape, such as communication by webcam, NGOs to support migrants in undemocratic societies, transnational families, and surrogate mothers/children. It would be reasonable to assume that issues such as the gender division of labor, media usage, and family relationships, including matters related to sexuality, are likely to change when people move across borders. Thus migration can be considered a strong factor reconstructing both intimate and public spheres.
The Organizing Committee will arrange several sessions in accordance with the topics applicants will present. Be aware that this method of organization is different from the last year’s. For this workshop, we also welcome presentations on all topics, NOT necessarily related to migration. These will be placed in a free session if accepted. We look forward to receiving your high-quality applications.

Application Guideline

 

  1. Schedule for the Next-Generation Global Workshop of 2010:
    August 15 Application Deadline
    August 18 RESULT OF SCREENING DUE
    November 15 Deadline for Full Papers (4,000 – 7,000 words)
    December 11, 12 GCOE Next-generation Global Workshop
    December 13 International Symposium
    December 25 Deadline for the Final Version of Papers for the Workshop Proceedings
    February 2011 2 Publication of the Workshop Proceedings
  2. Number of Presenters: Approx. 50 presenters (10 from this second-round call)
  3. Venue: Graduate School of Letters Building, Kyoto University

 

Notes for the Next-Generation Global Workshop 2010

 

(1) This call is for those from outside Kyoto University ONLY.
(2) Topics: (a) Related to Migration within the framework of intimate and public spheres; or (b) Others.
(3) Number of presentations to be accepted: up to 10 persons
(4) Deadline for Applications: August 15, 2010 (Japanese standard time)
(5) Eligibility: Ph.D. students, Ph.D. candidates, post-doctoral fellows, and those who are in similar non-permanent positions. Master course students are also welcome. Ask the Organizing Committee for details. The Committee will screen the applications by qualifications and the content of abstracts.
(6) Application form: There is no application form. Just email the Organizing Committee, with a clear heading stating that you are applying for the NGWS 2010, together with the following information, at: gcoe.nextgeneration@gmail.com.
*Please write in both English and Japanese for the a) to d).
a) Name
b) Affiliation
c) Title/ Position
d) Postal Address, Telephone Number, and Email Address
e) Title of presentation and an abstract (700 words in English or 1000 words in Japanese)
f) Session you prefer: either MIGRATION or FREE
(7) Successful applicants from outside Kyoto University are required to submit a short paper each (about 4,000 – 7,000 words in English) by November 15. Financial assistance for transportation, hotel accommodation and the like will NOT be provided.

Contact: Organizing Committee of the Next Generation Global Workshop, Kyoto University, Japan.
Mark applications: For attention: Dr. Rajkai, GCOE Staff Representative Send your application to: ****@****

大会参加者の皆様へ保育のご案内

日本女性学会大会ご参加のみなさま、
保育はあとお子様4名〜5名(ただし1歳6カ月以上)受け入れ可能です
1歳6カ月未満のお子様の場合、1歳6カ月未満のお子様であれば、あと1名受け入れ可能となります。
大会直前まで受付可能ですので、希望者はお問い合わせください。
なお、料金は会員が半日1500円、非会員が3000円です。
お昼休みは保育はできません。昼食は保護者と一緒にお願いします。

問い合せ先:伊田

第三次男女共同参画基本計画・中間整理に対する要望書

日本女性学会第15期幹事会一同

はじめに

わたしたちひとりひとりが、二分法の性別にこだわることなく、どれだけ充実した生活を互いに協力して平等に築いていくことができるのか。ジェンダー平等な社会の実現は、21世紀の日本社会において最重視されるべき課題の一つです。男女共同参画関連の施策は、もともとは女性が受けている社会的不利益の解決のための女性施策から出発しています。社会経済的な面での男女間の格差は依然として存在していますし、暴力および性暴力の被害が女性に集中していることも近年ますます明らかになっているところです。女性が置かれている状況に注目することによって、女性と対比的な位置にある男性もまた、現在の固定的な役割分業や性別特性論を強制する社会システム下で抑圧されている実態が浮かび上がってきています。
1979年設立の日本女性学会は、30年以上にわたり、女性および女性と男性との関係に関わる諸問題について、さらに「女性と男性との関係の問題」という二項対立によって隠されてしまう他の格差について、学際的研究を蓄積してきました。そして、人間性・人権・多様性を尊重する立場から今日の社会状況を変革することを目指してきました。日本社会が抱える男女平等に関する課題の解決のために、これを基礎とした人間の平等にかんする課題の解決のために、当事者主義に立ち、自らと他者の尊重を同時に追求する視点を備えた女性学およびジェンダー研究と教育が果たすべき役割は重大であると考えます。
にもかかわらず、女性学・ジェンダー研究は高等教育機関においていまだ周辺的な位置にとどまり、女性学・ジェンダー研究の知見を踏まえた初等・中等教育における教育実践も十分に発展してきているとは言い難い状況があります。とりわけ、21世紀初頭に隆盛した、誇張や曲解にもとづく「過激な性教育」「ジェンダーフリー教育」批判によって、子どもたちの人権を尊重する教育/ジェンダー平等について考えさせる教育の実践が困難な状況が生まれていることは、危急に改善されるべき問題と考えます。また、女性学・ジェンダー研究にたずさわる者の研究機関への就職難、とりわけ若年層にひろがっている任期付き雇用など不安定な雇用状況の拡大という問題も存在します。
女性学およびジェンダー研究の社会的意義の大きさに比べて、その発展が不十分なままにとどまっている実態を鑑みて、第三次男女共同参画基本計画には、男女共同参画社会の実現のために不可欠な学問的営為である、女性学・ジェンダー研究をサポートする施策をぜひとも盛り込んでいただきたいと考えます。

以下、具体的に5つの項目について要望します。

1)労働教育の充実について

「第4分野 雇用等の分野における男女の均等な機会と待遇の確保」に関して、「(9)(原文は○の中に9)男女雇用機会均等法等関連法令、制度の周知については、労使を始め社会一般を対象として幅広く効果的に行うとともに、学校においてもその制度等の趣旨の普及に努める」とありますが、いま女性がおかれている雇用環境からみて、このような教育では不十分だと考えます。単なる制度趣旨の周知にとどまらず、労働者としての権利の具体的内容や、組合や労働基準監督署等の相談・申告・係争の諸方法にまで踏み込んだ、実効性ある労働教育の実施を求めます。また、20歳代でも女性の非正規雇用率が6割を超える現在、正規雇用に就いていることを前提とした労働教育ではなく、非正規雇用者にも有用な情報が得られる教育内容であることが、女性のさらなる貧困化を防ぐ上で重要だと思います。そうした視点からの労働教育を定義し、学校教育に導入する必要性を明記することを要望します。

2)就学経路上の格差是正について

「第10分野 男女共同参画を推進し多様な選択を可能にする教育・学習の充実」に関して、「大学、大学院への女子学生の進学率も上昇しているほか、女性教員の数が増加した」と現状を肯定的に評価する記述がありますが、四年制大学にしぼると男女間格差は依然として残っていますし、大学院への進学率は女子のみならず男子についても高くなっており、男女を比較するとそこでも男女間格差は明白です。第二次基本計画で明記している「ミレニアム開発目標」の実現は、2015年までにすべての教育レベルにおける男女格差を解消することを達成目標としています。2015年までわずかの時間しか残されていません。よって、すべての教育レベルの格差解消を実現するために、四年制大学や大学院進学、従来女子が少ない科学技術分野の進学に関して、女子対象の奨学金やクォーター制度の導入など、積極的是正策(アファーマティブ・アクション)を取り入れることを具体的な施策として盛り込むことを要望します。

3)女性関連施設の積極的位置づけについて

「第10分野 男女共同参画を推進し多様な選択を可能にする教育・学習の充実」に関して、「1 男女平等を推進する教育・学習」には、(6)において独立行政法人国立女性教育会館の役割が」位置付けられていますが、各地の女性センター等女性関連施設の位置づけがありません。「第13分野 地域における男女共同参画の推進」においては地域活動の拠点として位置付けられていますが、これだけでは各地域の女性センターが、地域における学習活動のファシリテーター的役割や、各地域に密着したジェンダー統計の収集や研究の拠点としての役割を、担う必要があるということが不明確になってしまいます。(5)の「社会教育において・・・醸成されるよう、地域における学習機会の提供を促進する」との文言を、「醸成されるよう、各地方自治体の女性センター等女性関連施設を活用し、地域における学習機会の提供を促進する」に変更するなど、女性関連施設の積極的位置づけを盛り込むことが必要です。
現在、女性・男女共同参画センターの多くが、ジェンダー平等・男女共同参画社会形成に専門的知識技能をもつ職員を、不利な条件の非正規・非常勤雇用し、それら職員に事業・サービスの大部分を依存している実態があります。また「ジェンダー平等、男女共同参画社会形成に専門的知識技能」に基準や制度的裏付けがないことも大きな課題となっています。地方自治体の男女共同参画社会形成の拠点施設である女性・男女共同参画センターで、学習研修、相談、情報、調査研究等の専門業務にあたる職員の雇用条件の改善と雇用・任用に係る制度整備を要望します。

4)女性教育・研究関係者の不安定雇用状況の改善について

「第10分野 男女共同参画を推進し多様な選択を可能にする教育・学習の充実」および「第11分野 科学技術・学術分野における男女共同参画」では、それぞれ「I これまでの施策の効果と・・・十分に進まなかった理由」が述べられていますが、これらの現状認識には近年の学校教育機関および研究・学術機関における非正規雇用化の進展によって、たくさんの女性の教育・研究関係者が不安定な待遇におかれることになったことが、まったく視野に入っていません。これらの女性の不安定待遇の解消なくしては、女性比率の抜本的な向上は望めないということを、明記することを要望します。

5)人権・性的多様性を尊重した性教育の必要性について

「第10分野 男女共同参画を推進し多様な選択を可能にする教育・学習の充実」に関して、いずれの教育段階についても、男女平等および性的多様性尊重の視点を踏まえた性教育の必要性についての記述がありません。「男性に甘く/女性に厳しい」性道徳のダブルスタンダードを批判し、自他の人権を尊重した性行動をうながすような教育が必要だとする指摘がぜひとも必要です。また、多様なセクシュアリティをみとめる/セクシュアル・マイノリティの権利擁護の視点を含めることは、国際的な人権尊重の流れがもとめるものであると同時に、国内的にも当事者から強く要求がだされている点であり、教育において充実すべき重要な課題です。21世紀初頭に生じた「過激な性教育」「ジェンダーフリー教育」バッシングは、事実を歪曲・誇張した批判であることが多く、当時のバッシングによって性教育やジェンダーに関わる教育実践は後退を余儀なくされてきました。学校現場や行政施策における「人権尊重・平等の視点からの性教育」や「性的マイノリティに対する差別・人権侵害解消のための教育活動」を本来あるべき状態にもどし、さらに充実したものに発展させるために、それらの教育の必要性を明確に謳った文言を含めるべきだと考えます。教育関係者が安心して子どもたちに人権・多様性尊重の視点からの教育をおこなう環境、換言すれば、すべての子どもたちが安心して自他の権利やセクシュアリティに関して学べる環境を整えていただくことを要望します。

おわりに

男女共同参画社会基本法が施行されて、10年が経ちました。何が実行されて、何が実行されていないのか。今こそ、立ち止まって考えるときです。
計画をつくることが目的ではないこと、そして、計画を実行することこそに意義があること、これらの観点から、第三次男女共同参画計画が実効性を伴う計画となるよう、要望いたします。

【重要】学会ニュース119号:大会プログラムの訂正とお詫び

先日お送りしました学会ニュース119号掲載の2010年度学会大会プログラムの個人研究発表に掲載漏れがあり、以下のご発表を追加させていただきます。
なお、ホームページには訂正後の正確なプログラムを掲載いたしました。プログラム訂正のご報告は会員のみなさまにハガキで通知いたします。
ご発表者、ならびに会員のみなさまにたいへんご迷惑をおかけしましたことを心よりお詫び申し上げます。

幹事会 学会ニュース担当

第2分科会・第4報告

藤田嘉代子 家事労働再考〜メンタルな家事を中心に

従来の家事分担研究においては、料理・洗濯・掃除といった作業が、家事内容の代表として扱われ、それがどのくらい女性や男性においてなされているか、時間や頻度で計測される量的把握が中心となってきた。しかし、多くの妻/母親がしている家事労働はそれだけではない。本報告では2007年〜2008年に行った育児中の母親・父親インタビュー調査に基づいて、子育て中の親たちが家事育児について何を分担し何を分担していないのか、報告する。特に、メンタルな家事をキー概念として、従来の家事の量的計測では把握されてこなかった女性/母親の負担を明らかにする。

日本女性学会第16期幹事会選挙結果のお知らせ

2010年3月20日に投票を締め切り、開票の結果以下の会員が当選、上位当選者より順次確認を行った結果、傍線の10名に次期幹事を受諾いただきました。

日本女性学会第16期幹事会選挙結果

投票数 107 有効投票数 104 投票率 17%

投票結果

22票 海妻径子
21票 伊田広行、江原由美子、牟田和恵
20票 舘かおる
19票 上野千鶴子
17票 青山薫
16票 戒能民江、清末愛砂千田有紀
15票 諸橋泰樹
14票 渋谷典子
13票 秋山洋子、井上輝子
12票 橋本ヒロ子、堀江有里、三井まり子
11票 加納実紀代、北仲千里、武田万里子、田中かず子、内藤和美、細谷実
9票 風間孝、釜野さおり、佐藤文香、中村桃子、西倉実季
8票 荒木菜穂、岩本美砂子、金井淑子、國信潤子、クレア・マリィ、小山静子

下線 受諾者10名

民法改正に関する要望書

2010年4月16日
内閣総理大臣鳩山由紀夫様
日本女性学会15期幹事会代表   木村涼子
事務局〒272-0023千葉県市川市南八幡1-16-24

民法改正に関する要望書

法務大臣の諮問機関である法制審議会が夫婦同姓の強制、婚外子の相続分差別、男女別で異なる婚姻年齢や女性のみに課せられた再婚禁止期間など、多くの差別的規定の改正を含んだ民法改正を答申してから14年が経過しました。
この間、国連自由権規約委員会、また昨年8月には女性差別撤廃条約の日本での実施状況を審査していた国連の女性差別撤廃委員会から日本政府に対して民法改正を勧告したことはご承知のことと存じます。委員会は、女性差別撤廃に向けた政府の取組みを「不十分」として期限を切り迅速な対応を求めています。
国内の世論を見ましても2006年の内閣府調査によると60歳未満の各層で、男女とも夫婦別制選択制は賛成が反対を上回っています。
しかしながら、法務省は、96年の答申案とほぼ同じ内容の政府案を準備しているにかかわらず、与党の一部による選択制夫婦別姓の導入に対する強い反対で閣議決定が見送りになったことを私たちは極めて遺憾に思います。
日本女性学会は, 1979年に設立されて以来、女性差別撤廃に向けて国際的な動きに連動しつつ研究・教育・実践の分野で活動を続けてきました。
政権交代が実現した現在、性差別解消に向けた政策として、まずは鳩山政権において民法改正が実現されることを強く要望します。

日本女性学会15期幹事   代 表  木村涼子(大阪大学)
代表代行 海妻径子(岩手大学)
幹事 秋山洋子、伊田久美子、清末愛砂、渋谷典子、内藤和美
船橋邦子、三井まり子、牟田和江、諸橋泰樹、柚木理子
吉原玲子