WOMEN’S STUDIES Vol. 12 (2004)

Journal of Women’s Studies Association of Japan

WOMEN’S STUDIES Vol. 12 (2004)

Edited by the Editorial Committee of the Women’s Studies Association of Japan

CONTENTS

Special Issue:
New Horizons Opened Up by the Japanese Women’s Lib
For the Special Issue AKIYAMA Yoko
Keynote Speech:
Out of the Self-binding Feminism: We Would Rather Be Happy than Be Respectable TANAKA Mitsu
The Women’s Movement in the 1980s and Women’s Fight against Male Violence HARADA Eriko
Seeking for the Totality of the Torn Image of “Woman” SENDA Yuki
An Unhappy Marriage between Feminism and Academism KIKUCHI Natsuno
Articles:
The Social Plan of SHIMADA Utako and the Concept of “Shugei” in the Meiji Period YAMAZAKI Akiko
Constructed Narratives in Criminal Investigations: ‘Sexual Desire’ as a Motive of Rape Suspects MAKINO Masako
Research Note:
Fund-raising Campaign for the Abolition of Licensed Prostitution YANG Sunyoung
Book Reviews:
IDA Hiroyuki, YOSHIDA Toshimi, KAMANO Saori

Published by The Women’s Studies Association of Japan, Tokyo, Japan

投稿日: 2005年3月1日 カテゴリー: Journal

NewsLetter 第101号 2005年2月発行

日本女性学会NewsLetter

(*会員に送付しているペーパー版の「学会ニュース」とは内容が一部異なります)

女性学会ニュース第101号[PDF] 2005年2月発行


 

学会ニュース
日本女性学会  第101号 2005年2月

日本女性学会大会シンポジウム案内

テーマ:フェミニズムと戦争

─「銃後」から「前線」への女性の「進出」!?を踏まえて

日 時:2005年6月11日(土)
場 所:横浜国立大学
主旨:
現代フェミニズムにとって、「フェミニズムと戦争」の関係を再び問い直すことが不可欠になりつつある。
アブグレイブ刑務所におけるイラク男性の虐待写真に笑顔でおさまった女性兵士、アフガニスタンへの空爆回数分の爆弾シールを機体に貼った女性戦闘機パイロット、サマーワ派遣前のインタビューで「男性自衛官のオアシスになりたい」と発言した女性自衛官−21世紀に入ってから、これまでフェミニズムが想定してこなかった事態が、目の前の現実として次々とあらわれている。その新たな事態とは、「戦争/軍事的行為の直接的参与者としての女性」である。
これまで、「フェミニズムと戦争」のテーマの下では、著名な婦人運動家をはじめ、一般の庶民女性たちの戦争協力を批判的に対象化する研究が続けられてきた。これらの女性たちは「銃後」の女性たちであったが、同じ協力であってもここに登場するのは「前線」の女性たちである。この「銃後」から「前線」への女性の「進出」をフェミニズムはどう捉えるべきなのか。おそらく見解の分かれるであろうこの点を単なる是非論にとどめることなく、フェミニズムが掬いだすべき事柄を丁寧に見ていきたいと思う。
さらに、「フェミニズムと戦争」のテーマの下では、1993年の「女性に対する暴力の撤廃に関する宣言」以降、戦争という非日常の暴力を日常的な家父長制的暴力と同じ視野の下で、「女性に対する暴力」として捉えようとする動きも広がっている。「『戦争と女性への暴力』日本ネットワーク」(VAWW-NET Japan)が世界の女性たちと連帯しつつ開催した「女性国際戦犯法廷」とは、戦前には公的権利を剥奪されていた日本の女性たちが進んで加害責任を担うことにより、公権力を握りながらもその責任を取らない国家と国家的権力者の論理の解体を迫る試みであった。一方、「戦争/軍事的行為の直接的参与者としての女性」は、男女平等な公的権利を賦与され、一労働者としてそれを「行使」する女性であり、現在ではその女性たちが「女性に対する暴力」の一翼を明白に担っている。ここでも、これらの事態を見据えつつ、錯綜する加害/被害の重層性を丁寧に捉えることが求められているだろう。
本シンポジウムでは、9.11以降のアメリカ社会に鋭いまなざしを向けてきた岡野八代氏、「帝国の男性性」の構築の問題に関心を寄せてきた海妻径子氏、軍事組織内における女性を取り巻く力学に注目してきた佐藤文香氏をパネラーとし、フェミニズムと植民地主義の関係について考察してきた千田有紀氏をコーディネーターにディスカッションを行う。

(佐藤文香)

[パネラーの変更によりHP掲載に際し、内容を一部変更しています]

ヌエックの単独施設としての「存続」決定!

金 井 淑 子

前号で、国立女性教育会館・ヌエックの統廃合をめぐる問題について、日本女性学会として要望書を提出したことを報告しました。すでにご存知のことと思いますが、その後、ヌエックは単独施設としてその存続が決定されました。相次ぐ災害や心重たい事件など暗いニュースの続く中で、また女性政策の場面でのジェンダー・フリー教育や男女共同参画社会「条例」作りへのバックラッシュが強まる中での、年末唯一といってよい朗報でした。
まず12月7日付けで、文科省生涯学習政策局より「独立行政法人(国立女性教育会館、以下ヌエック)の見直し状況について」のファックスが学会事務局に入りました。文科省関係では青少年教育関係3法人の統合があげられていますが、ヌエックについては統合の対象とならない方向が固まった旨の報告です。ついで12月10日、国立女性教育会館からも神田理事長名で、ヌエックの単独存続が次期中期目標期間(平成12年度〜22年度)において決定されたことについて、ファックスの報告が届きました。
「9月中旬以来3ヶ月にわたる厳しい〈闘い〉でございましたが、皆様方のご尽力を心から感謝いたしております。本当に有難うございました。これからも困難な険しい道が続くと思いますが、何はともあれ一つの山を越えた思いでございます。今後とも何とぞご協力ご支援のほど宜しくお願い申し上げます」というのが、報告に添えられた神田理事長のご挨拶の言葉です。
今回の決定に際して総務省が出した報道資料によれば、独立行政法人の主要な事務及び事業の改廃に関する勧告の方向性—政策評価・独立法人評価委員会の指摘—は次のようなものです。勧告の方向性として、32ある独立行政法人を約3割削減して32法人から22法人にする、研究開発教育関係法人はすべて非公務員化する、さらに事務、事業の廃止、重点化、民間移管等を指摘するものです。今回統合の対象となるのを免れた国立女性教育会館については、その重点化目標として次の2点、すなわち①男女共同参画社会に向け、真に必要な事務、事業に特化・重点化、②利用者ニーズに応じた受け容れ事業を実施し、全国的な利用を促進する、を挙げています。この内容は、日本女性学会をはじめとする関係諸学会、NGO各種団体がまさに望んだ方向—男女共同参画推進法に基づく女性政策のナショナルセンターとしての位置づけ—を得たというべきものであり、ヌエックを取り巻く幅広い「応援」の声が実を結んだ快挙というべきものでしょう。
ヌエックは残りました。しかし、神田理事長も指摘されるように、状況は予断を許しません。ユエックの存続決定を喜び合う声とほぼ同時的に、埼玉県上田知事の男女共同参画無視の発言や県教育委員にバックラッシユ派の急先鋒ともいうべき人物を起用する方針であることが判明し、「埼玉県の教育が危ない!」と強い危機感が飛び交っています。また豊中市財団法人「とよなか男女共同参画推進財団・すてっぷ」館長だった三井マリ子さんが、原告となって「館長雇止め・採用拒否に対する損害賠償請求」裁判を起こしたということも、暮になって入ってきたニュースでした。各地で、混合名簿や性教育実践などジェンダー・フリー教育のシンボルともいうべき取り組みが「行き過ぎたジェンダー・フリー」批判として攻撃され、「条例」の骨抜きを図る男女共同参画へのバックラッシュもさまざまな形で展開されています。
しかも必ずしもバックラッシュとしてではなく、行革・財政改革の名のもとに市場原理を取り入れたネオリベラリズム的な政策のもとでも、各地の女性センターの運営がどんどん民間委託に移管され、女性政策関連の予算の切りつめが進んでいることにも目を向けていかなければならない情況にあります。
福岡市の女性センター(アミカス)も2005年度をもって財団廃止、市の直轄運営になると報じられています。指定管理制度導入とも関係していて、今後の NPO のあり方評価にも関わる問題として注意深く見ていく必要はありそうです。
ヌエックの存続を勝ち取ったことをバネとして、バックラッシュ情況を押し返す力にしていきたいものです。

ジェンダーフリー概念を捨て去るという退却戦略は有効か?

伊 田 広 行

『We』2004年11月号や同時期の研究会などで展開されている、ジェンダーフリー・バッシングに対する「ジェンダーフリー概念を使わなければいい」という上野千鶴子さんや一部論者たちの意見に対しての私の意見を少し述べます。
そこでは、ジェンダーフリー概念をめぐる戦いは、言葉使用をめぐる象徴闘争、名目上の戦いにすぎず、意地の張り合いにすぎず、バッシング派と推進派のどちらが勝利しようと実際の女性の行動や運動は変わらないので、この戦いに乗らなければいい、ジェンダーフリーという用語を捨てたらいいというようなことが指摘されています。
またジェンダーフリーという概念が、バーバラ・ヒューストンの論文の誤読に基づくものだということを根拠にして、この概念を使うべきでないという意見もあります。

まず私が言いたいのは、前号でも述べましたが、外国人の誰がどう言った、言っていないというのは権威主義の発想だということです。(同じことは、政府・官僚の答弁についても言えます。)大事なことは、私がどのような意味で使っているか、日本の運動の中でどのような意味で使われているかです。「誤読だ」ということをもって何かが言えるというのは、とても狭いアカデミズム的な姿勢です。そもそも誰か一人の最初の使い方にだけ正当性があるということは言えません。細かい議論は省きますが、どこを見ての議論かが大事です。
次に、私がどのような言葉、概念を使おうと、反対のために反対する人から邪魔されたくない、と言いたいとおもいます。文句を言われたからある言葉を使うのを引っ込めるということが、本当にどうでもいい、名目的な象徴の戦いにすぎないと言えるでしょうか。
というのは、今、天皇制や戦争をめぐってつばぜり合いが続いています。日の丸・君が代の押し付けで処分があるとき、保守派がうるさく言うからと、日の丸を掲げましょう、君が代を歌いましょう、抵抗をやめましょうと言うのでしょうか。むしろ思想の自由を各人が表明するべきときなのではないでしょうか。そこをめぐって、自由に意見を言えるようにしようというとき、日の丸などをめぐる議論や言動の対立は、どうでもいい戦いと言えるでしょうか。
性教育では、この教材を使うな、ペニスやヴァギナという用語を使うなという圧力がかかっているときに、そう言われたから使うのをやめましょうとなるでしょうか。ジェンダーフリーについても、一部では、女性センターなどに「ジェンダーフリー」という用語が入っている文献をすべて撤去するような動きがあります。講演者の人選にもジェンダーフリーを主張している者を選ぶなという圧力があります。講演者に「ジェンダーフリー」という言い方は自粛していただけますかという要請もあります。そういうときに、上記の「ジェンダーフリー概念を使うのをやめよう」という意見は、どのような作用をもたらすのかという視点が大事です。
私個人はこれまでジェンダーフリーという用語は積極的には使ってきませんでした。しかし自分が使ってこなかったから安心ということで、ジェンダーフリーを使ってきた人たちが排除されていくのを横目で見ているだけでいいのかという思いがあります。歴史教科書にも出てきた、「最初は共産主義者、次に自由主義者が排除されていった」という事実をもう忘れたのでしょうか。
つまり、今、「・・・をしろ」「・・と考えろ」「・・に賛成しろ」という圧力があり、それとの関係で、「逆に・・・を言うな」、「・・・をするな」という圧力もあるのです。何がしかの「正しさ」の押し付けが現にあるのです。その「正しさ」を基準にした言葉狩りや行動狩り、言動チェック、監視体制が始まっているのです。それに従う人が増えているときに、それに反抗する人がそのスタイルを表明すること、自由な意見表明の大切さを訴えることはとても大切と思います。若者・生徒・学生一人一人に、大人はどのような気概で生きているのかを見せられるかどうかが試されている場面が続いているのです。多様性という概念を本当に伝えることができるかどうかの境目です。口先だけの民主主義理解のメッキがはがれるときです。
「ほうっておけばいい」と言いますが、ほうっておけば向こうはさらに図に乗って、法律や制度で周到に自分たちを正当化していき、こちらの自由はもっと少なくなる可能性が高いと思います。だからこそ、私は、どんな言葉を使ってもいいじゃないですかと言っていきたいと思います。「ジェンダーフリー」をやめて、「男女平等」にすればいいと言いますが、政治的な戦いは、一つ後退すると次は、ジェンダー(ジェンダー・センシティブ、ジェンダー・バイアス)やリプロや性教育や男女平等や中絶という用語をめぐっての戦いになるのです。すでに指摘されているように、「男女平等」概念だけでは、フェミニズムを通過しない男女性別特性論レベルのままになるからこそ、リブもフェミもさまざまな概念を豊かに展開してきたのです。だからこそ、各人が男女平等もジェンダーフリーも豊かに使っていけばいいのです。
ジェンダーフリー概念は確かに曖昧な概念ですが、ヘンな使い方には適切に否定しつつ、自分のなかの積極的な意味を前に押し出すことが要ると思います。ジェンダーフリーに賛成か反対かの踏み絵を迫られたとき、その内容をめぐって闘いつつ、私の自由を守るという意味で「賛成だ」とはっきり言うことが要るのだとおもいます。そしてその戦いを広げ、逆に相手方一人一人に、どういう意味でそう言っているのかを突きつけて議論をしていくことが要るのです。私なら、シングル単位論を展開します。これならジェンダーフリー概念が単なる意識の問題に解消しているとか、アファーマティブ・アクションにつながりにくいという心配もなくなります。
ヌード・ハダカ規制において、とにかくハダカがあるとダメ、そんな本を撤去しましょう、出版禁止としましょうというようなことは、思想統制のおぞましい社会といえます。同じように、内容に関係なく、「ジェンダーフリー」という言葉が入っている本はダメ、そんな文献は置かない、閲覧のところから撤去するというのは、思想統制社会です。そこをめぐっての闘争が、どうして空中戦でしょうか。ほうっておくとは、言いなりになって本を撤去することでしょうか。
以上の基本スタンスを押さえて、ようやく「戦略」の話ができます。
男女平等への同じ思いをもつフェミニストの中で、以上のような基本を押さえた上でも、今の状況の中で、ジェンダーフリーという概念は守りにくい「陣地」なので退却しようという意見があります。性別秩序自体の廃棄という究極状態をめぐって戦うときではないので、今は現状を変える次の一歩として、「究極像をイメージさせるジェンダーフリー」はやめて、個人の選択の尊重というラインまで下がって闘う時期ではないか、そのプロセスこそ大事だという意見です。
この意見はわかります。本当にうまく退却できて、新たに戦いに有利な陣地を作って、そこに犠牲を出さずに「転進」することができるならいいと思います。でもまず、上記したように「ジェンダーフリー」だけの退却ですむかという問題があります。それができるぐらいの力量があるなら、ジェンダーフリーという前線でも僕なら戦えるという感覚があります。ただ、行政という公的な場所では確かに退却するのも一つの道でしょう。問題は、単なる退却でなく、このことを通じて皆が、ジェンダーフリー論が目指していた高いレベルのフェミニズム、ジェンダー論を語れるかどうかということです。ですから、実はジェンダーフリーという言葉をめぐる問題は、フェミニズム側の質と量の問題だったのです。程度の低い反論などいつの時代にもあります。フェミニズムをめぐってはこれからも難しい議論が続くでしょう。そのひとつひとつに豊かに意見を構築していくことこそ大事なのです。
そしてその議論の中に、たとえば私のような「究極的理想像やラジカルなことを言うような論者」がいてもいいと思っています。「そういうことを言うやつがいるから迷惑だ」というのは危険な発想です。「そういう意見があってもいいじゃないですか、でも私はこう考えますよ」というスタンスを皆が持てればいいなと思います。そうしないと運動は常に分裂します。それに私はシングル単位的な関係は、部分的にならば今すぐ作れると思っています。
なお、フェミニズムの精神を伝えるイキのいい入門書として私は、サンドラ・ヘフェリンの『ドイツ女性 自立生活の楽しみ』(カッパブックス)と、ベル・フックスの『フェミニズムはみんなのもの』(新水社)をあげたいと思います。こうした勢いを持って、バッシングの波を押し返すのは楽しい作業だと思います。

学会誌編集委員会より投稿締め切り時期変更のお知らせ

『女性学』12号編集委員会

『女性学』投稿原稿の締め切りを、今号より従来と比べて大幅に遅らせることにしました。その狙いは、大会発表者の投稿を促すことにあります。よって本年に大会で発表を予定する方々は、できるだけ投稿の可能性も念頭に置きながら原稿を準備されることを期待します。むろん、口頭発表を経ない投稿も歓迎しますので、いずれの場合にも、以下の投稿要領を熟読の上、奮って投稿してください。
2005年度日本女性学会学会誌『女性学』13号投稿原稿募集

  1. 応募資格:日本女性学会の会員に限る。
  2. 応募原稿
    論文、研究ノート、情報、及び書評で、未発表のものに限る。論文は主題について論証が十分なされている点に、研究ノートは主題の提起に独創性があり、今後の展開が期待される点に、評価の基準がおかれる。また情報とは、国内外の女性学をめぐる動向を意味する。
    紙数制限(註・参考文献リストを含む):
    論文(400字×50枚以内)、研究ノート(同20枚以内)、情報、書評(同5〜10枚程度)
  3. 応募原稿はワープロ・パソコンを使い、A4用紙に40×30行で印刷する。使用言語は日本語とする。原稿は縦書き、横書きのどちらでもよい。学術論文であるが、専門分野の異なる人にも理解できる表現をこころがける。図および表は別紙に書き、写真は1枚ずつ別紙に貼る。通し番号をつけ、本文原稿の欄外に挿入箇所を指定する。
  4. 投稿原稿は、コメンテーターによる査読がなされ、最終的な採否の決定は編集委員の責任で行われる。
  5. 掲載が決定した場合
    (1)最終稿、(2)英文による表題、(3)論文の場合は、300words程度の英文要約を、フロッピーディスクで提出する(MS-DOSに変換し、使用措置、ソフトを明記する)。

編集委員に送るもの(各7部)

  • 執筆者情報(A4一枚におさめる)氏名・住所・電話Fax番号(引越・海外移住の場合は新住所と移転日を明記)あれば電子メールアドレス
  • 論文タイトル・関心領域・論文・研究ノート・書評など、原稿をホチキスでとめたもの(本文に氏名を表記しない)。

送 付 先:日本女性学会事務局
締め切り:8月31日(厳守)
発行予定:2006年全国大会の頃

執筆書式の詳細はこれまでの号の末尾に記載しているので、参照のこと

日本女性学会会員の皆さまへ

世界女性会議 コーディネータ
アジア女性学センター ディレクター
キム・ウンシル

世界女性会議2005(WW05)の開催を、日本の皆さまにご紹介できることを大変嬉 しく思います。多くの方がすでにご存知だとは思いますが、第9回学際的国際女性会議が2005年6月19日から24日までソウルで開催されます。この会議の主催者は、韓国女性学会と梨花女子大学です。世界女性会議は3年ごとに開催される国際会議ですが、今回がアジアで初めての開催となります。WW05には、120カ国以上の国々から、女性学/ジェンダー研究の分野で活躍している学者や専門家、女性の活動家や政府関係者が3000人以上参加すると見込まれております。

この会議は「世界の全住民を抱きしめて:東−西/南−北」というテーマを掲げ、 地球上の女性たちが今日直面している問題を共有し、情報を交換し、議論する場にしたいと考えております。WW05は、東−西/南−北の境界における変化や論争、東−西/南−北の間に見られる相違や不均衡をより広く熟考する場を提供することでしょ う。この主題テーマのもと、WW05では次のようなサブテーマを設定しました:

(1)グローバル化、(2)ジェンダー・アイデンティティ、(3)家族と日常生活、(4)セクシュアリティ、(5)ジェンダーと宗教、(6)NGOと行動主義、(7)環境と農業、(8)ジェンダーと科学・技術、(9)ジェンダーと ICT、(10)文化と創造性、(11)ジェンダーとメディア、(12)平和・戦争・福祉、(13)法と人権、(14)政治とガバナンス、(15)女性学・ジェンダー研究、(16)女性の健康とスポーツ、(17)新しい世界のための新しいパラダイム、(18)東と西/南と北、(19)アジア におけるグローバルな議題。

もうすでに締め切り期日はすぎておりますが、もし発表したい論文をお持ちであれば、まだ可能性がありますのでご連絡ください。特に発表や企画はないけれど、WW05に集う人たちとアイディアを共有し一緒にイベントを楽しみたいという方も、ぜひお出かけください。

日本の皆さまがWW05に参加してくださり、世界中から集まる人たちやアジアの仲間たちと知識や経験を共有してくださることを心から願っております。また、気心が知れ親しみやすい雰囲気の中で、連帯や友情を楽しんでいただきたい。WW05では、大学院生や若手女性活動家のための「ヤング」フェミニスト・フォーラムなど、いくつか文化企画も計画しております。さまざまな知識や経験が一同に会するフェスティバルというだけではなく、女性研究者や活動家にとってエンパワーメントの場になることを、私は切に希望しております。WW05に関してもっと情報がほしい時には、どう ぞ下記のホームページをご覧になってください。
www.ww05.org
登録もこのホームページからできます。

それでは、梨花女子大学でお目にかかれることを楽しみにいたしております。

研究会からのお知らせ

2005年6月の全国大会のメイン・シンポジウム「フェミニズムと戦争」にむけた研究会を開きたいと思います。奮ってご参加ください。

日時 2005年4月3日(日曜日) 10時から12時半
場所 かながわ県民センター 709号室
(横浜駅より歩いて3分)
話題提供者 佐藤文香さん、千田有紀さん
内容 大会シンポジウムの議論の基本方向をめぐっての提案

大会発表者へのお知らせ

2005年6月大会での個人研究発表、ワークショップの申し込みは、3月25日(金) までに、ニューズレター担当の楠瀬までメールかファックスでお願いします。
(メール:keiko-ku●mbox.kyoto-inet.or.jp    ファックス:075−702−3188)
(●を@に書き換えてください)
タイトル、発表の概要(200字程度)、発表時に使用する機材をお知らせ下さい (機材は希望にそえない場合があります)。
なお、報告をされる方で、学生・院生・OD 他、常勤職についておられない方には、 学会より旅費の補助をする予定ですので、希望される方はその旨明記して下さい。
大会の詳細は次号ニューズレターでお知らせします。

投稿日: 2005年2月1日 カテゴリー: NewsLetter

NewsLetter 第100号 2004年11月発行

日本女性学会NewsLetter

(*会員に送付しているペーパー版の「学会ニュース」とは内容が一部異なります)

女性学会ニュース第100号[PDF] 2004年11月発行


学会ニュース
日本女性学会 第100号 2004年11月

日本女性学会ニュースレター100号記念
学会ニュース100号までの歩み

日本女性学会のニュースレターは、今号でちょうど100号となります。そこで記念企画の一つとして、バックナンバーから毎年の大会テーマと開催地を拾い出してみました。1980年2月に第1号を発行して以来、現在までの過程からは、日本の女性学がそのときどきに直面していた課題や問題意識が浮かび上がってくるのではないでしょうか。
なお、バックナンバーの調査にあたっては、内藤和美さんのご協力を得ました。貴重な資料をご提供いただき、感謝いたします。

1980年5月 「女性学の出発」 法政大学
1981年6月 講演・ダグラス・ラミス「日本文化と女性」 法政大学
1982年6月 講演・水田宗子「女が自分を語る時:宮本百合子とボーボワールの自伝小説を中心に」 神戸女学院大学
1983年6月 「フェミニズムと学問」 国立婦人教育会館
1984年6月 「女性と宗教」 早稲田大学
1985年6月 「いわゆる“性差”と女性解放:近代社会にどうだまされてきたか」 名古屋勤労婦人センター
1986年6月 「日本の文化的土壌とフェミニズム:フェミニズムを阻むものは何か」 国立婦人教育会館
11月 「日本的土壌とフェミニズム:女の〈不払い〉労働を考える」 京都市社会教育総合センター
1987年6月 「日本の文化的土壌とフェミニズム:女のセクシュアリティー(生と性)」 法政大学
11月 「日本の文化的土壌とフェミニズム:今、女性学を見直す」 京都市看護短期大学
1988年6月 「日本の文化的土壌とフェミニズム:視覚イメージの政治学」 国立婦人教育会館
11月 「日本の文化的土壌とフェミニズム:フェミニズムの原点に立ち戻る」 大阪女子大学
1989年6月 10周年記念対談「フェミニズムをどう生きるか:駒尺・藤枝、大いに語る」 法政大学
12月 「女性の人権と性差別」 京都精華大学
1990年6月 「生殖の政治学」 横浜女性フォーラム
12月 「女性への暴力:その構造を問う」 国立婦人教育会館
1991年6月 「均等法5年:女性は働きやすくなったか」 東京女子大学
11月 「従軍慰安婦・キーセン観光・在日韓国朝鮮人女性:アジア女性会議へ向けて」 京都市国際交流会館
1992年6月 「アジアの女性学を創る」 早稲田大学
11月 「フェミニズムと表現の自由」 京都精華大学
1993年6月 「夫から妻への暴力:婚姻関係の内外で」 せたがや女性センター
11月 「女子学生はなぜ就職できないか? 就職差別の現状と構造」 京都産業大学
1994年6月 「フェミニズム文学批評に何ができるか」 豊島区 立男女平等推進センター
11月 「女性が問う“家族法”:戸籍・別姓・非婚」 名古屋市女性会館
1995年6月 「フェミニズムと国家:おんなと戦争責任」 国際基督教大学
11月 「多様なフェミニズムと私」 追手門学院大学
1996年6月 「女と生殖:その欲求・技術・政治」 和光大学
11月 「フェミニズムと政策決定過程」 愛知淑徳大学
1997年6月 「何のための女性学か:日本の女性学20年の「現在」を問う!」 かながわ女性センター
11月 「きしむ「家族」:制度と感情の乖離」 長岡短期大学
1998年6月 「自己決定という「フィクション」:生・性・からだ」 慶應義塾大学
11月 「専業主婦という「選択」:その是非または幸、不幸」 北九州市立女性センター・ムーブ
1999年6月 「20世紀の女性表現を考える」 城西国際大学
11月 「働きたい、働けない:派遣・パート労働とリストラのいま」 大阪府立ドーンセンター
2000年6月 「フェミニズムと政治権力」 東京大学
2001年6月 「女性学の制度化をめぐって」 千葉市女性センター
2002年6月 「ポルノグラフィーの言説をめぐって」 エル・パーク仙台
2003年6月 「「男女共同参画社会」をめぐる論点と展望」 十文字学園女子大学
2004年6月 「ウーマンリブが拓いた地平」 鳥取県 男女共同参画センター
(荻野美穂)

ヌエック問題、日本女性学会幹事会も、要望書を提出しました

新聞等でご存知のことと思いますが、学会としての対応について、少し経過を説明させていただきます。このかん、ヌエックの名で慣れ親しみ、日本女性学会も浅からぬ関係にあった国立女性教育会館が、行革推進の中での独立行政法人の統廃合の流れを受け、独自施設としての存続が危ぶまれる状況にあるという問題が急浮上してきました。22法人を8法人に統合し、国立女性教育会館はオリンピック記念青少年総合センター、青年の家、少年自然の家と統合すると提案されたのです。またまた、「女・子ども」問題は一緒、の発想なのでしょうか。

この事態を受け、まず、独立行政法人国立女性教育会館の運営を考える会が、個人の連名で、9月27日に文部科学大臣、官房長官、総務大臣、行政改革担当大臣、「独立行政法人に関する有識者会議」「規制改革・民間開放推進会議」「総務省政策評価・独立行政法人評価委員会」「自民党行政改革推進本部メンバー」などに要望書を出したということです。

女性学・ジェンダー関連の国内の学会・研究会がどのような対応をすべきなのか、いろいろやり取りがありましたが、統一的な書面による要望ではなく、それぞれの学会・研究会の歴史や活動を踏まえて、それぞれの会の責任において要望書を提出することと、提出時期の目途を10月18日に予定されている「有識者会議」に向けてということで、上記の関係メンバーあてに要望書を提出することとなりました。

日本女性学会は、急を要する事態でもあり、大会も終えたばかりで会員全体の総意を確認する手立てがない中では、「13期幹事会」名で要望書を届けるのが一番現実的であろうということを幹事会内で確認し、以下の要望書を作成し、郵送で関係者に送付した次第です。

幹事会としては、今後も必要に応じて関係方に働きかけをしなければならない場面もあるかと考えておりますが、是非、皆様も事態の成り行きを関心をもって見守っていただくと共に、それぞれの場面からなしうる働きかけをお願いいたします。

(金井淑子)
平成16年10月15日

独立行政法人国立女性教育会館の統合等に関する要望書

日本女性学会幹事会  代表幹事
金 井 淑 子

私たち、日本女性学会は、1979年、日本の「女性学研究」を推進することを目的に、さまざまな学問研究分野からの研究者をネットワークすることによってスタートした研究者グループです。発足後は、会員は研究者にとどまらず学校教育・社会教育の現場さらに地域で学習を深めたリーダー的存在まで広がりをもち、現在、会員730名を擁する学会に発展し、日本学術会議の登録団体にもなっています。日本には、女性学研究の目的をもつ研究者ネットワークは、日本女性学会のほかにも日本女性学研究会、女性学研究会、国際女性学会がありますが、1978年にオープンした国立婦人教育会館(現・独立行政法人・国立女性教育会館)の存在は、これらの4研究団体を始めとする国内の研究者の情報交流とネットワークの場として大きな役割を果たしてきたことはいうまでもありません。

とくに会館が80年代以降実施してきた「高等教育機関における女性学開設状況」調査が、日本の女性学教育推進と女性学研究の裾野の拡大に果たした意味は少なくないと考えております。同会館がまさに国内外の女性学教育のナショナルセンターとして4半世紀にわたり展開してきた研修・交流・調査研究・情報などさまざまな事業が、日本の女性のエンパワーメント教育に果たした意味ははかりしれません。私ども日本女性学会のメンバーは、同会館の主宰する講座や国外からゲスト講師を迎えてのシンポジウムの開催において、講師、助言役などの任を果たしたことも多々あり、その意味で、会館と共に日本の女性学推進の一翼を担ってきたという自負を抱いてもおります。

日本社会も男女共同参画社会基本法の制定を経て、21世紀の日本社会の福祉や教育など、新しい社会システムへの構造的転換を模索する取り組みが問われている中で、さらにまた国際化・グローバル化する世界における日本社会の女性の役割がこれまで以上に問われている中で、国立女性教育会館の女性のエンパワーメント教育のナショナルセンターとしての比重もまたこれまで以上に大きくなっていると考えております。

さて、そのような中にあって、今回、各方面で行われている独立行政法人の組織、事務の見直しに関連して、国立女性教育会館を国立オリンピック記念青少年総合センターなどの青少年教育関連法人と統合する案が検討されていることを知り、たいへん驚きかつ憂慮しております。昨今の日本社会の、行財政改革・構造改革の流れの中では、独立行政法人の組織、事務の見直しが避けがたいことと承知しておりますが、それでも、国の女性教育推進のナショナルセンターとしての国立女性教育会館の存在が見えなくなるような方向での統合計画案には、どうしても納得しがたい思いを強めております。

なによりも、日本社会が、国際女性年およびそれに続く国連女性年の10年とその国内行動計画を受けて基本法まで到達した女性政策の成果を国際的な場面にアピールし、「平和と平等」実現に向けた国際社会の取り組みに日本の女性たちが参画していく、その活動と情報の国際社会からの受発信のナショナルセンターとしての同会館の存在が見えなくなることは、日本の女性政策の後退の印象を各国に与えかねないのではないかという危惧を抱いております。

男女共同参画社会の実現に向けて、むしろこれからこそ、女性のエンパワーメント教育の意味が新たに問われているのだと考え、日本女性学会も女性学推進の観点からこの流れに寄与したいと考えております。そのためにも国内外の女性学研究者の交流と情報の受発信、ネットワークの拠点となる国立女性教育会館がいま以上に必要であり、本来の目的を明確にした単独法人として、今後も政府責任のもと存続することを強く願い、さらなる発展を期待するものです。

以上、ご賢察のうえ、ご高配くださいますようお願い申し上げます。

お知らせ

◇ジェンダー史学会設立のお知らせ

本年12月、人類の歴史にかかわる諸学問領域をジェンダーの視点から深く研究するための学際的研究団体として、ジェンダー史学会が設立されます。趣意書には、「歴史・文学・言語・教育・宗教・思想・美術・音楽・演劇・経済・社会・民俗・政治・法・科学等々、多くの分野を含み、学際的双方向性において、歴史におけるジェンダーの包括的研究を行うこと」、さらに「人種・民族、階級など他の諸要素とジェンダーとの諸関係を構造的に明らかにすること」が、目標としてかかげられています。

以下のとおり、設立大会シンポジウムが開催されます。詳細については、下記にお問い合わせください。
12月4日(土) 中央大学駿河台記念館281号室
記念講演 13:00〜13:40
アン・ウォルソール「ジェンダーの政治学」
シンポジウム 14:00〜17:00
「今、なぜジェンダー史学か?」
大橋洋一、服藤早苗、前山加奈子、大森真紀、若桑みどり
問い合わせ先:中央大学経済学部 長野ひろ子研究室
FAX:0426-74-3425
Email: genderhistory1●khh.biglobe.ne.jp (●を@に書き換えてください)
http://www7a.biglobe.ne.jp/〜genderhistory/

◇第9回国際学際女性会議開催のお知らせ

第9回国際学際女性会議(WW05)が、2005年6月19日から24日まで、韓国ソウルの梨花女子大学で開催されます。会議全体のテーマは「地球を抱きしめる:東と西、北と南」で、その下に20の多彩なサブ・テーマが用意されています。
参加申し込みの締め切りは2004年12月31日です。
申し込み方法、そのほか詳細については、
www.ww05.org
をご参照ください。

◇お茶の水女子大学21世紀COEプログラム

「ジェンダー研究のフロンティア」
主催シンポジウムのご案内
第1回F−GENSシンポジウム
「グローバル化、暴力、ジェンダー」
12月11日(土)
午前の部 基調講演
「ジェンダー法学と暴力の再解釈」戒能民江
午後の部 分科会A
「いかにして権力はパフォームするのか」
分科会B
「パネル調査に見る東アジアのジェンダー格差」
12月12日(日) シンポジウム
「再生産領域における〔複数の〕グローバル化と暴力:
アジアにおけるジェンダーの論題をめぐって」
会    場:お茶の水女子大学
(詳細は以下にお問い合わせください)
問い合わせ先:電話 03-5978-5547
FAX 03-5978-5548
URL: http://www.igs.ocha.ac.jp/f-gens/
Email: f-genszn●cc.ocha.ac.jp (●を@に書き換えてください)

◇ホームページ検討ワーキング・グループからのお願い

幹事会内に、学会ホームページ(以下HP)の将来的なあり方を検討するワーキング・グループ(以下、WG)を設置しました。メンバーは、幹事の伊田広行、釜野さおり、佐藤文香、武田万里子で、今年度中に一定の結論をえることを目標とします。

現在、学会のHPは、会員向け情報媒体であるニュースレターに掲載された情報を基本に、年数回更新し、5万円程度の経費をかけています。具体的には、設立趣意、規約、入会案内、大会案内、学会誌宣伝、研究会案内、科研費講座案内、学会関与のイベント案内などを掲載し、学会の外部への宣伝機能を担っています。

しかし、情報化の進展のなかで、学会のHPは将来的にどういう機能をもつべきなのか、何のために、誰を対象に、どういう情報を掲載するのか、本格的な検討が必要と考えられます。英文版の必要性の検討も必要でしょう。どのような実施体制をとり、どの程度の経費をかければそれらを実現できるのかも、問題です。

「こんなHPにしたい」「こういう情報をのせよう」「こんな機能がほしい」という要望、すれば実現できる」というお知恵を、もよりのWGメンバーもしくは幹事までお寄せください。

(文責・武田万里子)

次回日本女性学会大会予告

時 期:2005年6月11日(土)、12日(日)
場 所:横浜国立大学( 横浜市保土ヶ谷区常盤台 )
テーマ:「フェミニズムと戦争」(仮題)
* 詳しくは次号ニュースレターでお知らせいたします。

投稿日: 2004年11月1日 カテゴリー: NewsLetter

11号/2004年4月15日発行 定価2571円(本体2381円+税)(税込)

特集「男女共同参画社会」をめぐる論点と展望
バックラッシュの構図 伊藤公雄
教育装置のつくりかえ —— 社会を見る眼を奪い、心理主義化をすすめる教育改革とは 亀田温子
前橋市での男女共同参画推進条例制定とバックラッシュの動き 斎藤周
条例制定をめぐる「攻防」から見えてきたもの —— 今後を展望するために 船橋邦子
投稿論文
期待を裏切る —— フェムとその不可視の「アイデンティティ」について 清水晶子
「総合職・専門職型労働」における妊娠期という問題 —— 聞き取り調査の事例をもとにして 杉浦浩美
少年雑誌におけるセンチメンタリズムの排除 —— 一九三○年代の『日本少年』『少女の友』投稿欄の比較から 今田絵里香
「愛のあるセックス」というシナリオ —— 猥褻裁判、男性映画監督、フェミニズム言説の交錯地点 堀ひかり
研究ノート
ドメスティック・バイオレンスの保護命令制度と法のジェンダー化 吉川真美子

WOMEN’S STUDIES Vol. 11 (2003)

Journal of Women’s Studies Association of Japan

WOMEN’S STUDIES Vol. 11 (2003)

Edited by the Editorial Committee of the Women’s Studies Association of Japan

CONTENTS

Special Issue:
Issues and Perspectives over “Gender-Equal Society” Forms of Backlash ITO Kimio
Regression in Educational System: Eliminating Social Perspectives and Enhancing Psychologism KAMEDA Atsuko
Enactment of Gender Equality Bylaw in Maebashi City in Face of the Backlash Movement SAITO Madoka
The “Fight” over the Enactment of an Ordinance for the Promotion of Gender Equality: Issues that Have Become Visible through the Fight and Our Future Challenges FUNABASHI Kuniko
Articles:
Against Expectation: Femmes and Their Invisible “Identity” SHIMIZU Akiko
Maternal Crisis in the Workplace: A Study Based on the Interview SUGIURA Hiromi
The Excluding Sentimentalism in a Boy’s Magazine: Comparison of Readers’ Columns Between Nihon-Shonen and Shojo-no-Tomo in the 1930s IMADA Erika
A Scenario of “Love”: The Intersection of Male Directorship, Obscene Film Trials, and Feminist Discourse HORI Hikari
Report:
Development of Protection Orders for Domestic Violence and Engendering of Law YOSHIKAWA Mamiko

Published by The Women’s Studies Association of Japan, Tokyo, Japan

投稿日: 2004年3月1日 カテゴリー: Journal

NewsLetter 第95号 2003年7月発行

日本女性学会NewsLetter

(*会員に送付しているペーパー版の「学会ニュース」とは内容が一部異なります)

女性学会ニュース第95号[PDF] 2003年7月発行


学会ニュース
日本女性学会  第95号 2003年7月

2003年 日本女性学会大会報告

シンポジウム:「男女共同参画」をめぐる論点と展望 コーディネーター

舘 かおる

2003年度日本女性学会シンポジウムは、6月7日(土)の午後、上記のテーマで開催された。まず、本シンポジウムの開催趣旨について、コーディネーターから「男女共同参画及びフェミニズムへのバッシング状況を把握するとともに、その論理及び政治構造を分析すること」に置いたとの説明があった。

亀田温子報告は、「ジエンダーフリー教育は、性差解消により男女を画一化するもの」という「つくりだされた定義」により、危険な教育という認識を広げることで、進み始めた男女平等教育をゆり戻す動きが強まっている状況、その中で行政の事業や予算の変更も行われている現状を明らかにした。一方、学校教育現場で試みられている「性」や「家族」に関わる教育や男女混合名簿の実践への攻撃、さらに教師に対する個人攻撃のかたちで教育批判が展開している実態も報告された。そして教育の右傾化の動向に対し、ジェンダーフリー教育の実質を捉えられる教師の力量形成と、地方行政担当者が自己規制しないことを重要なポイントとして提示した。

船橋邦子報告は、具体的に大阪府、千葉県、宇部市などの男女共同参画条例制定をめぐるバックラッシュの論点を整理し、反共主義勢力が、戦後左翼への違和感を抱く層を巻き込み、有事関連三法の法制化などにつながる路線を強めていることを指摘し、次々に法案を成立させる国政と地方分権政治の関係を、緊張感をもち注視することの重要性を提起した。

伊藤公雄報告は、バックラッシュ派の論理の基本的枠組みを提示した上で、その背景を整理した。「バックラッシュの論理」として、本来ジェンダー・バイアスからの解放を意味する「ジェンダー・フリー」を「性差の否定」とねじまげて批判する動きや、「専業主婦否定」、「家族の絆を破壊する」、「リプロダクティーブ・ヘルス/ライツ」批判、さらに「結果の平等の押し付け」や「洗脳」だというバックラッシュ派の論理の構図が分析された。その上で、こうしたバックラッシュ派の論理のレトリックが考察され、バックラッシュの流れが整理された。つまり、イデオローグとしての「伝統的・反動的保守」とともに、「自称リベラル」の「フェミニズムは価値観の押し付け」であるという批判の動きが整理され、それを支持する人々の背景に、他者を攻撃することで「不安定な自己の普通さ」を防衛する動きや、「解放の理論」であるはずのフェミニズムが、彼ら・彼女らには「抑圧の論理」として把握されていること(いわば「反体制派」をきどるバックラッシュ派)、さらに、社会の大きな変化のなかで不安を抱き始めた男性たちの姿が分析された。なかでも、女性のサポートを前提にして生活してきた男性たちが、女性の自立・社会参加によって、これまでの「女性への依存」状況が切り崩されるのではないかという危機感を抱いている状況についての言及がなされた。

参加者からは今後の分析軸となる問題提起がなされた。例えば「フェミニズム言説の捏造のされ方」、「政策と個人の内面のズレ」、「一元的な語り方ではなく多様性をもたせるフェミニズムや男女共同参画政策のレトリック」、「政策に両脚を乗せない運動の大切さ」、「海外でのフェミニズムとジェンダー主流化政策推進へのバックラッシュの状況調査」などである。

シンポジウムの参加者の半数の約100名は会員以外の政策担当者や学生であり、アンケート調査の感想は「バックラッシの構図が理解でき、大変参考になった」、「問題の根深さが理解できた」等が多数を占めたが、若手研究者からは、もう少し理論的な議論が必要との感想も見られたという。ウーマンリブ運動、国連の女性差別撤廃条約に基づく各国の政策、そして「ネオ・コン」と称される新保守主義の台頭という歴史的状況の変化の中で、現在の日本の男女共同参画政策とフェミニズム、女性学、ジェンダー研究の関係を、理論的かつ政策的に検討していくことは、今後も不可欠の課題であろう。日本女性学会では引き続き、このテーマを研究会の場で継続していく。

会場から実り多い情報

根岸泰子

司会者からの、写真撮影および無断録音はご遠慮くださいとの呼びかけから始まった今回のシンポジウムは、昨今の男女共同参画社会基本法やそれに準拠した条例へのバッシングと揺り戻しの顕著な動きに呼応した今回のテーマへの緊張感を改めて認識させつつ、全体としては淡々と、しかし実り多い情報をもたらしてくれたように思う。

印象に残ったのは、条例がちゃんとしているところは総合的・横断的女性政策課の役割がきちんと機能しているという船橋発言だった。福祉・医療・教育・警察関係etc.が一カ所で錯綜する場としての女性問題に日々直面し苦闘する部署では、イデオロギーよりも何よりもこの総合的・横断的機能が有効なのだということを身にしみて知っている。共同参画基本法のこのような現実的効用を保守派イデオローグはどう意味づけるのだろう。

そのいわゆる保守派に照準を当てた伊藤分析「バックラッシュの構図」では、バックラッシュのイデオローグとその支持者について今話題の小熊英二・上野陽子『<癒し>のナショナリズム』を援用しつつ、さらに男性たちの内的もろさへと半ば自己言及した指摘があり参考になった。前者については昨今のウェブ上での女性センター掲示板への攻撃的な書き込みをよく目にする私としてうなづける点が多かった。

時間が押していたせいか最後のフロアとの直接応酬がちょっと少なかったのが残念だったが、「一元的なメッセージの語りでは運動はダメで、正確に伝えるためには多様に開かれた語り口(レトリック)をめざすべき。また韓国(性差別禁止法)や台湾など東アジアのジェンダー状況の調査・連帯が必要」(伊藤)、「人とのネットワークが大切。教組だけでない新しい人のつながりを強めていくことが一番の基本」(亀田)、「柔軟な対応が大切だが自己規制はダメ。みんなでサポートして孤立しないという状況作りも必要」(舘)という三者の発言は、期せずして今後の私たちの対応について、共通の方向性を示唆してくれていたのではないだろうか。

理論、運動論の構築が必要

森屋裕子

今回は、私の身近でも頻繁に起こっているバックラッシュについて、その背景や構造を整理し、あわせて女性学がどのような形で対峙するのか、できるのかの効果的な方策を探りたいという問題意識をもって参加した。

大会第一日目のシンポジウム「男女共同参画社会をめぐる論点と展望」では、亀田温子さん、船橋邦子さん、伊藤公雄さんによって、「教育改革」「条例制定」の現場でのバックラッシュの状況やその論理構造、背景などについての分析がなされ、現状整理に大変参考になるパネルが展開された。行政や学校、議会の現場は、「全国統一規格」の、声高なレトリックによる攻撃への対症療法的対応に追われている。そうした状況下では、攻撃の背景にある複数の流れとその実力のほどを冷静に分析し、それに基づいた対応方法を議論し、提示していくことが女性学に求められている。その点で、今回のシンポジウムは時宜を得た企画であったと思う。

しかし、内容的には、バックラッシュの構造や背景を現場の状況と有機的にからめて議論を深めていくことについては、物足りなさが残った。考えてみれば、グローバル化の中でのネオコンの隆盛ひとつとっても、事態が日々刻々動いており、その分析については幾筋もの議論が現在進行中である。パネラーの方々や参加者がそれを共有し、教育や条例策定の現場にひきつけて議論していくには絶対的時間が不足していた。

本学会には、各地の条例作りや教育も含めた男女共同参画政策の展開にフェミニズム、女性学の専門家として、行政職員として、活動家としてかかわる会員が多いと思うが、最前線での対応がせまられている今は、政策決定、実施過程におけるそれぞれの役割や立場の共通点と違いをふまえた理論、運動論の構築が必要である。二日目のワークショップ「男女共同参画推進条例づくり攻撃に対抗する」では若干試みられていたが、よりつっこんだ展開が、早急に求められていると考える。

日常の議論の中の歪みを正していこう。

松尾奈々

2003年6月、私が初めて参加した日本女性学会大会のシンポジウムのテーマが「バックラッシュ」だった。学会に参加する以前から日本における「バックラッシュ」については耳にしていたが、ここまで組織化されているとは知らなかった。2001年、私は、アメリカのオレゴン大学で女性学に出会った。 WST101(女性学基礎)で最初に出された宿題が、Susan Faludiの “BACKLASH−The Undeclared War Against AmericanWomen−”(1991) のリーディングだった。それまで女性学もフェミニズムも聞いたことがなかった私が女性学に関しては、ほぼ私と同レベルのクラスメイト達が最初に学んだのがフェミニズムがこの社会でどのように映っているか、そして、何が偏見なのかだった。それを知った上で、私たちは女性学を学び始めた。アメリカにも日本にも共通する点は、反論する側がその本質を理解することなく間違った解釈でメディアなどを媒体に反論しているという点だ。

シンポジウムの2番目のパネリストである船橋邦子さんが、行政にまつわるバックラッシュの話をされた。手渡されたレジュメに添付されていた「日本時事評論」の記事を見て、「ぎょっ!」とした。第一に見た目がとても嫌な感じで、まるで悪徳商法の紹介をしているようだった。内容をよく見てみると勘違いだらけ。勝手に男女共同参画社会の定義付けをし、それに反論している。それを見ながら、もし、私が女性学に出会う前に、この記事を読んでいたら?と想像してみた。男女共同参画の本質を知らないからこそそれが偏見なのか正しいのかどうか、見抜く力がない。だからとりあえず、男女共同参画から遠ざかるような気がする。私が現在関わっている行政でもゆり戻しが起こっている。まず、社会教育講座を企画する段階で、「タイトルに『女性』『ジェンダー』を付けてはいけない」「対象者を女性限定にしてはいけない」などと言われ、タイトルや対象者を変更する必要があり、内容がぼけてしまう場合がある。行政内部だけではなく、一般市民からも「男女共同参画」に対する抗議電話を受ける。それから日々の私生活でも、女性学を専攻しているというと、「男女平等って言うけど、元々男と女は違う生き物なのだから・・・」と始まる。そしてやはりそこでも歪んだ定義を基にした男女共同参画について批判的な意見を受ける。

シンポジウムに参加して組織化されたバックラッシュの現状を知り、自分には何が出来るか考えた。とりあえず、すぐに出来ることは、この様な日常の議論の中にある歪みを一つ一つ正していくことだと思った。

ワークショップ報告

(1)日々の活動から、女性学とのつながりを求めて

渋谷 典子

学びから実践へ、実践から研究へ。その接点を求めて、ワークショップを開催。ウイン女性企画の成り立ち、活動目的、『出口の見える循環型講座』についての説明、そのなかの『読み書き論文講座』の成果と課題について報告することからはじまった。「30年にわたってどうやってグループ活動が存続したのか」「新しい人材がなぜ参加するのか」「法人格を取った経緯は?」—参加者からのさまざまな質問や意見でテーマは広がっていった。そして、「女性学は当事者性が重要な学問であり、学び・活動・研究が一体化している」—このことを参加者とともに共有できたことを記しておきたい。

NPOで活動しているわたしにとって、日々の変化はめまぐるしい。2月にワークショップの申込をした段階では想定していなかった「名古屋市男女平等参画推進センター/つながれっとNAGOYA」(6月18日オープン)の協働運営NPOとして、名古屋市から事業を受託した経緯についてもあわせて報告。「NPOへの委託は、行政が運営することと比べると少ない予算なのでは?」「有償労働になり効率性を求めるようになると?」「活動のなかでの関係性と仕事については?」—これから事業を実施していくわたしたちにとって、有意義な質問や提言をいただくことになった。名古屋市では、NPOが施設の協働運営を受託する初めてのケース。その分野が「男女共同参画」であれば、その成果は必ず「男女共同参画社会の実現へ」とつながるはずである。新たな実践の場から、研究へ。次の一歩がはじまっている。

(2)ポルノグラフィー被害を考える〜DV、セクシュアル・ハラスメントと「ポルノ被害」

春原千咲
ポルノ・買春問題研究会

当研究会が実施した「ポルノに関連した被害についてのアンケート」調査報告をもとに、女性の人権という視点から、ポルノに関する被害と加害についての認識を深め合うことを目的におこなった。とりわけ、調査実態からドメスティック・バイオレンスとポルノ被害との関連性を中心とする報告と討論を通じて、ポルノグラフィが、女性への人権侵害であるという認識への共感が得られたことが、意義深かった。

討論の概要は、今後、当事者にとって危険のない形でどのように被害を語ってもらうことができるのかが課題となるとの重要な指摘をはじめ、痴漢冤罪を流布するメディアや性犯罪をすり抜けようとする様々な言説への批判をおこなう必要性、外国人女性が強いられている売買春の深刻な現状などについての発言があった。さらに、インターネットやデジタル・カメラ、携帯電話などの急速な普及が犯罪の温床となっている現実に触れ、不特定多数へポルノが送られてくることへの問題化が不可欠であること、「児童ポルノ」、「殺人ポルノ」への戦慄と恐怖、怒りなども語られた。

そして、ポルノが「女性への暴力」であるという事実に加え、同性愛者間のポルノによる暴力を見落とすことがあってはならないという趣旨の意見が出され、まさに「女性に対する性暴力」を問題化する中で明確にしていくべき課題として、その重要性が確認された。今回、調査協力をいただいたひとりの女性弁護士が、現場からの声として、会の依頼を受けいくつかの判例をもって参加されたことも、重要な柱のひとつとなった。「盗撮」や「のぞき」などに対する社会の甘い風潮が、そのような犯罪を助長しているという点に言及し、ポルノ視聴は単なる趣味の範疇ではないのだ、との説得力ある発言をおこなった。

今後の課題を模索していく上での貴重な場となったことと、参加者への感謝を記したい。

(3)当事者の視点で問う「DV防止法」

原田恵理子

「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律(DV防止法)」の見直しの動きのなかで、DVの被害をうけた当事者にとっての有効な援助施策など見直しの課題を探ることが、このワークショップの目的であった。

特定非営利活動法人ウィメンズ・ライツ・センターから、DVの被害者3人が参加して、それぞれの思いを語った。9年前に子どもを連れ着の身着のままで家を出てシェルターに避難したAさんは、被害者が居所を失うことが前提になっているDV防止法の問題点をあげ、「加害者の厳罰を求める。加害者を家から退去させるよう改正してほしい」「現在のDV防止法は、シェルター以後の支援策がない。女性と子どもは、家を出たあとにより困難を抱える」と、子どもへのケアもふくめたきめ細かい総合的支援策の必要性を訴えた。10代の娘を夫の元に残して家を出たBさんは、家裁調停での二次加害や、単身女性への援助施策とりわけ就労の貧困さをあげ、働く場の確保と被害者の相互支援・支えあいが、被害者支援策の中核に据えられ必要があることを強調した。国際結婚・離婚を経験したCさんは、イギリスのレフュージ(シェルター)でのサポートと比較しながら、日本では、地域での援助システムの不備がDVの潜在化や被害者の孤立化につながっているのではないかと述べた。参加者からは、内閣府や参議院の動向について、また加害者対策の効果等について質問があった。

2003年2月末に参議院共生社会調査会にDV防止法見直しのためのプロジェクト・チームが発足し、内閣府も見直しに向けての「論点整理」を公表するなど動きは活発化している。見直しのポイントとしては、被害者の権利の明記、行政責任の明記、被害者の定義の拡大、暴力の定義の拡大、保護命令制度の改善、関連法の改正、若年者への非暴力教育などがあがっているが、被害者の「声」は、届きにくい。このワークショップはささやかな試みではあるが、DV防止法の改正のみならず、今後、参加者がそれぞれの地域で、被害者とともに支援システムを模索していく契機となることを期待したい。

(4)「シングルマザー」を考える

山本 昭代

「シングルマザー」はジェンダーや家族を対象としたあらゆる分野の研究のなかでも、今日ますます比重を増しているテーマであるが、依然としてその対象は他者化され、研究者から差異化された存在として扱われがちである。このワークショップでは、母子家庭の母の当事者団体であるしんぐるまざあず・ふぉーらむの会員を中心に、シングルマザー当事者であるさまざまな分野の研究者ら5人が集った。当事者がシングルマザー研究に取り組むことを通じて、これまでの研究の問題点を検討しなおし、新たな方向性を提示することを目的とした。

まず山本昭代(社会人類学)は、欧米におけるシングルマザー研究と途上国における女性世帯主世帯研究のこれまでの流れを検証し、メキシコ先住民村においていかに「シングルマザー」が出現し、共同体の中で位置づけられるようになったかを紹介した。次の杉山直子(アメリカ文学)の報告では、アメリカ文学においてどのように「母の語り」が出現するようになり、近年「権威ある母親」「強い母親、脅威とならない父親」という新たな家族モデルが描かれるようになってきたことを論じた。さらに小林亜子(西洋史)は、16〜17世紀ヨーロッパにおいて、非嫡出子の扱いがどのように変化したか、母親と父親に対していかに異なった扱いがなされていたかを明らかにした。次いで堀田香織(臨床心理)は、これまでの母子家庭を巡る心理学研究の動向を振り返り、その問題点を明らかにするとともに、新たな視点からの母子家庭研究の必要性を提起した。最後に赤石千衣子(しんぐるまざあず・ふぉーらむ理事)は、日本の母子家庭の当事者運動の歴史を振り返り、戦後の母子福祉制度の確立に当事者からの積極的な働きかけが大きな役割を担っていたことを示した。

このように多岐にわたる分野でそれぞれに異なった視点からの研究であるが、いずれも主体としてのシングルマザー自身のダイナミクスに着目している点が興味深かった。しかし時間的な制約のため議論を十分に深めるには到らず、今後とも研究会などの形で継続していきたいと考える。

(5) 男女共同参画推進条例づくり攻撃に対抗する

出納いずみ、斎藤周、橋本ヒロ子、内藤和美

1)、2)、3)の3報告を踏まえ、57人の参加者とともに意見を交換した。

1)「男女共同参画推進条例づくり攻撃に対抗する」−千葉市、千葉県の場合

「千葉市条例」は当初、素案を公表しない方針の行政側が、市民、一部議員の抗議で素案公表となり、「女らしさ、男らしさ」「家族を中心に」が突然入ったことがわかり、抗議活動をし、削除された。素案の公表は不可欠。「千葉県条例案」は県民参加で1年半をかけたが、自民党が「性別にかかわりなく」「性の自己決定権」をはじめ多くの部分に反論を展開し、継続審議を繰り返し、最後は自民党案の提出となったが、両案とも廃案となった。6月議会でのゆくえは不明。議会の勢力構成は重要である。

(出納いずみ)

2)前橋市での条例制定経過を振り返る

群馬県前橋市の条例(3月の市議会で全会一致で可決成立)の制定経過を紹介した。反対運動が強まる中で制定にこぎつけることができた要因として、協議会(市民15名で構成)が熱心な議論を積み重ねて市長に提言を提出したこと、しっかりとした姿勢の事務局が協議会提言を尊重して庁内の調整にあたったこと、市長が前向きの姿勢であったこと、市議会に強硬に反 対する議員がなく、疑問をもつ議員も市長与党の一員として賛成したこと等があげられた。

(斎藤 周)

3)条例制定におけるバックラッシュの概況と対応

2003年3月に制定されたさいたま市と朝霞市の条例を紹介し、全国的なバックラッシュの傾向分析と影響を少なくするための対策を報告した。さいたま市条例は、最大会派の女性議員、市民グループ、行政担当者の連携により、反対派が意図した内容にならなかった。リプロも表現を変えて入った。一方朝霞市では、案より後退したものの特徴的な事業評価などが条例に入ったが、担当者は交代し条例案策定に貢献した市民・専門家が審議会に入らず条例実施の継続性が困難になった。

(橋本ヒロ子)

会場からは、「法律・条例など制度ができることに焦点をあてて活動することもさることながら、そこからあるいは別のかたちでどのような活動を展開するかが大事だ」、「攻撃する側のインターネットを通じた発信は上手で人を引きつける。インターネットによる発信をもっと工夫・活用してはどうか」、「ネットワークこそが力である」などの意見が述べられた。こうした情報・意見の交換の場を密に積み上げていくことの大切さを確認したワークショップであった。

(内藤和美)

■個人研究発表

信楽町の共同参画への取り組み 寿崎かすみ
「教育とジェンダー」に関する意識調査
—同志社女子大学卒業生対象の調査研究より
三宅えり子
作られた自爆攻撃者の母親像?
—パレスチナ滞在から見えてきた虚像
清末 愛砂
バングラデシュにおける「女性への暴力」を考える
—新聞報道と現地芸術家によるアートの考察
水野 桂子
ICTとジェンダー 國信 潤子
活用事例調査から見たNPO/NGOにおける女性のICT活用事例とその傾向 松浦さと子
セクシュアルマイノリティが照射する人権教育の課題
—大学教育実践「同性愛者と語る会」の視点
吉田 和子
下田歌子の社会構想と「手芸」 山崎 明子
ポルノグラフィー(アダルトビデオ)とフェミニズムの距離感 矢島 千里
メディアの中の「ロリータ」
—日本における「ロリータ」構築をめぐって
須川亜紀子
日本の新聞におけるピルの報道にみるジェンダー観の分析
—80年代半ば以降を中心に
アナリア・ヴィタレ
性犯罪裁判を読む—ある強姦事件の事例から 牧野(博田)雅子
法律学における婚外子の問題化過程
—商業誌の記事分析から
橋本マコト

■「少子化対策基本法」に対する意見書

日本女性学会は、「少子化社会対策基本法案」に対し、6月7日の総会出席者一同で、下記の「要望書」を、衆議院内閣委員会に提出することを決議した。6月12日(木)衆議院本会議で可決されたのちも、参議院内閣委員会に同文の要望書を提出した。しかしながら7月22日(火)には参議院内閣委員会で可決され(付帯決議つき)、参議院本会議で成立した。

「少子化社会対策基本法案」に対する要望書

2003年6月3日
日本女性学会総会出席者一同

今国会に再上程された 「少子化社会対策基本法案」に対し、日本女性学会では、6月7日の総会において、以下の理由から、法案の慎重審議を決議し、ここに要望書を提出する。

I.「女性の人権」を尊重した立案の必要性

「少子化社会対策基本法案」(以下法案と略す)は、少子化を「21世紀の国民生活に深刻かつ多大な影響を及ぼす」とする現状認識から作成され、その基本理念には、「家庭や子育てに夢を持ち、子どもを生み育てるための環境整備」を講ずるとある。しかしながら、本法案は、妊娠、出産、育児により多大な影響をうけることが多い女性の立場を十分に考慮した立案となっていない。本法案においても位置づけられている男女共同参画社会基本法、世界的には国連の女性差別撤廃条約等の基本理念となっている「女性の人権」を重視した観点が希薄と言わざるを得ない。特に、1994年のカイロ人口会議以降、リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖に関する健康と権利)は、産む、産まないまたは産めない女性の人権を重視して国際的に合意形成された理念である。少子化社会対策にあたっては、女性の多様な生き方の自己決定や選択可能性を認め、不利益を被らないような施策が、最も重視される必要がある。

II.母子保健医療体制充実の項目検討

法案は、基本法であるにもかかわらず、不妊治療の規定が別項に規定され、突出している。現在生殖医療技術の利用に対する法の制定準備作業が進められており、いまだ国民の間で十分な議論がなされないままである。生殖補助医療は、不妊原因が男性にあっても女性が治療の対象になるものであり、特に、日本のように、女性に子どもを産むことを求める家族・親族・社会の圧力の存在が否定できない社会においては、慎重にこの問題に取り組んでいくべきである。また、正常出産の場合は、健康保険が適用されず自己負担となっており、費用は非常に高額であることから、現在の正常出産に対する助成や周産期医療の不十分さを是正することを盛り込むことが必要である。現在の母子保健医療体制をめぐっては様々な問題点があるので、十分な検討のうえ、妊娠と出産に関するサービスの提供の充実を図るべきである。

III.出産・育児の負担を軽減する環境整備政策の重要性

少子化の原因分析を十分検討し、子育て環境整備の具体化を盛り込んだ観点を重視すべきである。内閣府が行った「社会意識に関する世論調査」(2002 年)において、「理想の子ども数」を2人、3人と答えた人は合計8割以上であった。人口問題審議会の「少子化に対する基本的考え方について」(1997 年)では、少子化の要因を「育児の負担感、仕事との両立との負担感、教育の経済的負担」と分析している。「厚生白書」(1998)でも子育て支援策として、仕事と家庭の両立支援策をあげた女性が多かった。少子化に関わるこのような分析をもとに、具体的かつ適切な対策を法案に反映させることこそが重要である。

IV.両性による育児の共同責任及びひとり親家庭の支援等の明文化

施策の基本理念における子育て責任については、国が父母その他の保護者の養育を援助する等の責任を負うことを盛り込むべきである。少子化の原因の一つが育児の負担感と仕事の両立の困難にあることは上述のとおりであるから、子育てについて国が個人を援助する等、国にも責任があることを明記すべきである。このことは、「子どもの権利に関する条約」、ILO156号条約、同165号勧告、男女共同参画社会基本法等で明記されている。また、婚外子やシングルペアレントなどのひとり親家庭の支援についても重点を置く必要がある。さらに、教育、啓発に関して規定するのであれば、少子化社会にあって、女性と男性の多様な人生選択を可能にする男女共同参画社会形成のための教育、啓発を規定すべきである。

V.地球規模で「人口問題」を考慮する必要性

地球規模で考えるならば、「人口増加をいかに抑制するか」が、人口問題の課題となっている。日本を含む先進諸国のエネルギー消費は、人口増の途上国を遙かに上回っており、人口と環境の関係は、単なる人口数ではなく、一人ひとりの地球環境に対する重みの問題であることが確認されている。しかしながら、この法案には、日本という限られた国家のみを見て、かつ少子化を有史以来の未曾有の深刻な事態と把握することを前提にしている。日本という地域を対象にするとしても、自国の出産奨励のみではない、より広範な視野にたった考察が不可欠である。本要望書は、法案自体を全面的に否定するものではないが、上記のような重大な問題点があるので、今国会での成立は見合わせ、慎重な議論を求めるものである。

連絡先:日本女性学会事務局
(千葉県市川市南八幡1-16-24)

■会員の活動

著 書
杉田聡 『レイプの政治学—レイプ神話と「性=人格原則」』  明石書店 2003

女性学・ジェンダー論 関連科目についての調査への協力の依頼

独立行政法人国立女性教育会館情報課より以下のような依頼がありましたので、掲載します。

当国立女性教育会館では、全国の高等教育機関における女性学・ジェンダー論関連科目についての調査を行っております。これは、全国の大学・短期大学より最新データを収集し、これらの科目の開講状況をWEB上データベースとして広く一般に公開することを趣旨とするものです。しかしながら、例年、調査漏れの指摘、データ追加の要請等を頂いておりますので、関係者の方々に貴学会からも広報にご協力くださいますようお願い申し上げます。

そこで、たいへん恐縮でございますが、貴学会のニューズレターやWEBページ、メーリングリスト等の媒体を通じて、女性学・ジェンダー論研究者に対して調査への協力を呼びかけていただけませんでしょうか。当館からの依頼文を添付ファイル“joseigaku.txt”としてご用意させていただきましたので、ご活用いただければ幸いです。

ご承知のように本データベースは、継続的に実施している唯一のものであり、網羅的にデータを収集し、充実整備を図りたいと考えております。

なお、昨年度までの調査結果につきましては、当会館のWEBページhttp://www.nwec.jp/の「女性学・ジェンダー論関連科目データベース」もしくは「女性学科目DB」の項目をご覧ください。今年度の調査につきましては、6月24日をもちまして調査依頼を各大学・短期大学に送付いたしました。

ご多忙のところ恐れ入りますが、何とぞ本調査の趣旨をご理解いただき、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。

独立行政法人国立女性教育会館情報課

公募のお知らせ

 

中京大学 女性学専任教員公募

学  部・研究科 教養部
職  名・人数 教授、助教授または講師1名
担当科目 全学共通科目の女性学およびその関連科目
応募資格
(1) 女性学/ジェンダー論関連領域で博士号を取得、あるいはそれに準ずる研究業績を有する者。狭義の女性学にとどまらない研究領域を持つことが望ましい。
(2) 生年月日が1965年4月1日以降であること。
(3) 採用後、勤務地近辺に居住できる者。 採用時期 2004年4月1日
応募締め切り 2003年9月22日(月)必着
提出書類
(1) 履歴書 (市販履歴書用紙に準ずる書式。写真貼付)  1部
(2) 研究業績目録 1部
(3) 主要研究業績5編以内の要旨(各1,000字以内) 1部
(4) 着任後の研究計画と教育の抱負(各1,000字以内) 1部
選考方法 教養部教授会において審議決定する。
書類提出先
〒468-8666 名古屋市昭和区八事本町101−2
中京大学 教養部長 桑村哲生 宛
電  話 052-835-7181(教養部事務室)
※封書に「教養部『女性学』教員公募書類在中」と朱筆し、書留で郵送すること。
その他
(1) 提出書類された応募書類は返却いたしません。
(2) 一次審査通過者には、研究業績10編以内の現物、または写しをお送りいただきますので、あらかじめご用意ください。
(3) 二次審査通過者には、健康診断書をご提出の上、面接に望んでいただきます。

安倍フェローシップ  個人研究プロジェクト公募

国際交流基金日米センター(CGP) と米国社会科学研究評議会(SSRC)が共催する安倍フェローシップ・プログラムは、社会科学分野の個人研究プロジェクトを公募しております。締め切りは9月1日です。
安倍フェローシップ・プログラムの詳細につきましては、
http://www.ssrc.org/fellowships/abe あるいは
http://www.jpf.go.jp/j/region_j/cgp_j/intel/abe/index.htmlをご参照下さい。
米国社会科学研究評議会(東京事務所)
代表 フランク・ボールドウィン
戸田 拓哉

ニューズレターへの投稿・研究会企画の募集

*今年度大会シンポジウムのテーマ〈「男女共同参画」をめぐる論点と展望〉に関するご意見をお寄せください。
締め切り: 10月10日
宛先: 牟田(次号担当)

*研究会企画を随時募集しています。学会から補助が出ます。
希望者はお問い合わせください。
細谷(研究会担当)

投稿日: 2003年7月1日 カテゴリー: NewsLetter